老子:道経:無源第四
無源第四
道冲而用之、或不盈。淵乎似萬物之宗。
道は冲にして之を用うるに、或いは盈たず。淵として万物の宗に似たり。
- ウィキソース「老子河上公章句/上」参照。
- 冲 … 傅奕本では「盅」に作る。容器がからっぽであるさま。また、何も入っていないさま。
- 或不盈 … 傅奕本では「又不満」に作る。「盈」は一杯になる。
- 淵 … 深いさま。
- 乎 … 道蔵所収王弼本・傅奕本では「兮」に作る。「兮」は感嘆や強調の語気をあらわす助辞で、普通は読まない。
- 宗 … 大本。祖先。
挫其鋭、解其紛、和其光、同其塵。
其の鋭を挫き、其の紛を解き、其の光を和らげ、其の塵を同じくす。
湛兮似或存。吾不知誰之子。象帝之先。
湛として存する或るに似る。吾、誰の子なるかを知らず。帝の先に象たり。
- 湛兮似或存 … 深くたたえた水のように、表面には見えないが何かが存在しているようだ。「湛」は水が深く満ちているようす。底本では「湛兮似若存」に作るが、道蔵所収王弼本・傅奕本に従い改めた。
- 吾不知誰之子 … 私は、それが誰の子であるのか知らない。「吾」は老子の自称。
- 象帝之先 … 天帝より以前から存在していた。天帝の祖先のようだ。「帝」は天帝。「先」は祖先。「象」は普通は「かたどる」と読むが、ここでは「にる」と読む。「似る」の意。