老子:道経:聖徳第三十二
聖德第三十二
道常無名。樸雖小天下不敢臣。
道は常に名無し。樸は小なりと雖も天下敢えて臣とせず。
- ウィキソース「老子河上公章句/上」参照。
- 樸 … 底本では「朴」に作るが、道蔵所収河上公本・二十二子所収王弼本等に従い改めた。仮借。
侯王若能守之、萬物將自賓。天地相合、以降甘露、民莫之令而自均。
侯王若し能く之を守れば、万物将に自ずから賓せんとす。天地は相合して、以て甘露を降し、民は之に令すること莫くして自ずから均し。
- 侯王 … 諸侯や王のこと。
始制有名。名亦既有、夫亦將知止。知止所以不殆。
始めて制して名有り。名も亦た既に有れば、夫れ亦た将に止まる所を知らんとす。止まる所を知るは殆からざる所以なり。
- 夫 … 底本では「天」に作るが、道蔵所収王弼本・傅奕本等に従い改めた。
- 知止。知止 … 底本では「知之。知之」に作るが、道蔵所収王弼本・傅奕本等に従い改めた。
譬道之在天下、猶川谷之與江海。
道の天下に在るを譬うれば、猶お川谷の江海に与するがごとし。
- 川谷 … 川や谷の水。
- 江海 … 大きな川や海。
- 与 … 従う。流れ込む。「於」に作るテキストもある。