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論語

 ろん』について
孔子(前552~前479)とその門弟たちの言行録。四書の一つ。十三経の一つ。二十篇。儒家の中心的経典。我が国へは応神天皇の代に伝来したといわれている。ウィキペディア【論語】参照。
 凡例
  • 邢昺けいへい『論語注疏』(阮元『十三經注疏(附校勘記)』中華書局、1991年)を底本とし、諸本を参照して一部字句を訂正した。
  • 字句の異同については、その都度注記した。
  • 原文は原則として正字体、書き下し文は新字体・現代仮名遣いとした。
  • 各章の区分けはしゅ『論語しっちゅう』に拠った。
  • 各章には全章の通し番号と各篇ごとの番号とを合わせ記し、利用者の便を図った。
  • 各章には章名を記した。章名は太宰春台『論語古訓外傳』(嵩山房、延享2年)に拠った。
  • 引用した書名の略称については、あん等『論語集解しっかい』は『集解』、皇侃おうがん『論語義疏ぎそ』は『義疏』、邢昺けいへい『論語注疏』は『注疏』、しゅ『論語しっちゅう』は『集注』と表記した。なお、『義疏』の本文は一部省略した。
  • 「曰」の送り仮名は「いわく」で統一した。学校教育の場では「ハク」に統一されているが、本来は「いわく」「わく」のどちらでもよい。なお、「のたまわく」は「いわく」の尊敬語であり、孔子に対してだけは「のたまわく」と読んだ方がよいと思われるが、煩雑になるのですべて「いわく」で統一した。
  • 現代語訳は、がえり善雄(1910~1966)『論語新訳』、穂積重遠しげとお(1883~1951)『新訳論語』、下村しもむらじん(1884~1955)『現代訳論語』を登録した。三者とも死後50年以上経過しており、著作権が消滅している著者であると判断した。ウィキペディア【魚返善雄】【穂積重遠】【下村湖人】参照。これらの本文の中で、あきらかに誤字と思われる箇所は注記せずに訂正した。なお、2016年5月1日、青空文庫に下村湖人の『現代訳論語』が登録されたが、当サイトが登録しているテキストデータは、その数年前に独自に作成したものである。
がく第一
(001~016)
せい第二
(017~040)
八佾はちいつ第三
(041~066)
じん第四
(067~092)
こうちょう第五
(093~119)
よう第六
(120~147)
じゅつ第七
(148~184)
泰伯たいはく第八
(185~205)
かん第九
(206~235)
きょうとう第十
(236~253)
先進せんしん第十一
(254~278)
顔淵がんえん第十二
(279~302)
子路しろ第十三
(303~332)
憲問けんもん第十四
(333~379)
衛霊公えいれいこう第十五
(380~420)
季氏きし第十六
(421~434)
よう第十七
(435~460)
微子びし第十八
(461~471)
ちょう第十九
(472~496)
ぎょうえつ第二十
(497~499)
あ行 か行 さ行
た行 な行 は行
ま行 や行 ら行・わ
あ行
朝に道を聞かば夕に死すとも可なり
遊ぶに必ず方有り
過ちて改めざる、是を過ちという
過ちては改むるに憚ること勿かれ
一日の長
一簣の功
一を聞いて十を知る
一簞の食、一瓢の飲
一以て之を貫く
遠慮なければ近憂あり
己に克ちて礼に復る
己の欲せざる所は人に施すこと勿かれ
温故知新
か行
下学して上達す
怪力乱神を語らず
下問を恥じず
既往は咎めず
君君たり、臣臣たり
朽木は雕るべからず
君子は言に訥にして行いに敏ならんと欲す
君子は言を以て人を挙げず、人を以て言を廃せず
啓発
犬馬の養い
賢を賢として色に易う
賢を見ては斉しからんことを思う
剛毅木訥は仁に近し
巧言令色鮮なし仁
後生畏るべし
後凋の節
故旧は大故無ければ、則ち棄てず
告朔の餼羊
五十にして天命を知る
克己復礼
さ行
三十にして立つ
三省
三人行えば必ず我が師あり
三年父の道を改むること無きは孝と謂うべし
四海兄弟
志士仁人は生を求めて以て仁を害すること無し
死して悔ゆるなし
死して後已む
四十にして惑わず
耳順
死生命有り
七十にして心の欲する所に従えども、矩を踰えず
日月逝けり、歳我と与ならず
駟も舌に及ばず
周して比せず
従心
手足を措く所なし
小人窮すれば斯に濫す
小人の過つや必ず文る
上知と下愚とは移らず
牆に面して立つ
女子と小人とは養い難し
而立
歯を没す
仁者は寿し
仁者は憂えず
仁者は山を楽しむ
仁に当たりては師にも譲らず
津を問う
水火を踏む
過ぎたるは猶お及ばざるがごとし
速やかならんことを欲すれば則ち達せず
性相近く習い相遠し
善美を尽くす
造次顚沛
束脩
備わるを一人に求むること無かれ
其の身正しければ、令せずして行わる
巽与の言
た行
楽しみて淫せず
民を使うに時を以てす
近き者説べば、遠き者来る
知者は惑わず
知者は水を楽しむ
父父たり、子子たり
父は子の為に隠し、子は父の為に隠す
中道にして廃す
直躬父を証す
鼓を鳴らして攻む
釣りして綱せず
庭訓
鄭声
涅すれども緇まず
天を怨みず人を尤めず
道聴塗説
堂に升り室に入る
徳有る者は必ず言有り
徳は孤ならず、必ず隣あり
歳寒くして、然る後に松柏の彫むに後るるを知るなり
朋有り遠方より来たる、亦た楽しからずや
な行
苗にして秀でず
名を正す
鶏を割くに焉んぞ牛刀を用いん
任重くして道遠し
述べて作らず
は行
博文約礼
秀でて実らず
匹夫も志を奪うべからず
人知らずして慍らず、亦た君子ならずや
人の己を知らざるを患えず、人を知らざるを患う
人の将に死なんとする、その言や善し
富貴天に在り
不賢を見ては内に自ら省みるなり
父母在せば遠く遊ばず
不惑
文質彬彬
憤せずんば啓せず、悱せずんば発せず
糞土の牆は杇るべからず
暴虎馮河
木鐸
ま行
学びて厭わず、誨えて倦まず
学びて思わざれば則ち罔く、思いて学ばざれば則ち殆うし
三たび思いて後に行う
身を殺して仁を成す
本立ちて道生ず
や行
勇者は懼れず
揖譲
行くに径に由らず
逝く者は斯くのごときかな、昼夜を舎かず
用行舎蔵
弋して宿を射ず
由らしむべし知らしむべからず
ら行・わ
縲絏
六十にして耳順う
和して同ぜず
和を以て貴しと為す
  • 〔国内〕
  • 石本道明/青木洋司『論語 朱熹の本文訳と別解』明徳出版社、2017年
  • 井波律子『完訳 論語』岩波書店、2016年
  • 宇野哲人『論語 上・下』(中国古典新書)明徳出版社、1967年
  • 宇野哲人『論語新釈』(講談社学術文庫)講談社、1980年
  • 江連隆『論語と孔子の事典』大修館書店、1996年
  • 魚返善雄『論語新訳』學生社、1957年
  • 荻生徂徠/小川環樹訳注『論語徴 1・2』(ワイド版東洋文庫 575・576)平凡社、2009年
  • 貝塚茂樹『論語』(中公文庫)中央公論新社、1973年
  • 貝塚茂樹編「論語古義」『伊藤仁斎』(日本の名著 13)中央公論社、1972年
  • 影山輝國『『論語』と孔子の生涯』(中公叢書)中央公論新社、2016年
  • 影山輝國・洲脇武志・齋藤建太「翻刻『論語義疏』(大槻本)―学而篇・為政篇―」、実践女子大学文芸資料研究所『年報』29号、2010年
  • 影山輝國・玉鴿・柏原健右・下村泰三「翻刻『論語義疏』(大槻本)―八佾篇・里仁篇・公冶長篇―」、実践女子大学文芸資料研究所『年報』30号、2011年
  • 影山輝國「翻刻『論語義疏』(大槻本)―雍也篇・述而篇―」、実践女子大学文芸資料研究所『年報』31号、2012年
  • 影山輝國・下村泰三・中田妙葉「翻刻『論語義疏』(大槻本)―泰伯篇・子罕篇・郷党篇・先進篇―」、実践女子大学文芸資料研究所『年報』32号、2013年
  • 影山輝國「翻刻『論語義疏』(大槻本)―顔淵篇・子路篇・憲問篇・衛霊公篇―」、実践女子大学文芸資料研究所『年報』33号、2014年
  • 影山輝國・齋藤建太・相原健右・洲脇武志「翻刻『論語義疏』(大槻本)―季氏篇・陽貨篇・微子篇・子張篇・堯曰篇―」、実践女子大学文芸資料研究所『年報』34号、2015年
  • 加地伸行『論語』(講談社学術文庫)講談社、2004年
  • 金谷治『論語』(岩波文庫)岩波書店、1963年
  • 金谷治編『唐抄本鄭氏注論語集成』平凡社、1978年
  • 簡野道明『論語解義』明治書院、1931年
  • 簡野道明『補註 論語集註 新装版』明治書院、1972年
  • 木南卓一『論語集註私新抄』明徳出版社、2001年
  • 木村英一『孔子と論語』(東洋学叢書)創文社、1971年
  • 木村英一『論語』(講談社文庫)講談社、1975年
  • 久米旺生『論語』(中国の思想 9)徳間書店、1996年
  • 倉石武四郎『口語訳 論語』(筑摩叢書)筑摩書房、1970年
  • 桑原武夫『論語』(ちくま文庫)筑摩書房、1985年
  • 子安宣邦『仁斎論語 上・下』ぺりかん社、2017年
  • 渋沢栄一『論語講義 全七巻』(講談社学術文庫)講談社、1977年
  • 下村湖人『[現代訳]論語』PHP研究所、2008年
  • 朱熹/土田健次郎訳注『論語集註 1~4』(東洋文庫 841・850・854・858)平凡社、2013~15年
  • 『縮臨古本論語集解』(漢文講讀課本 Ⅵ)朋友書店、1998年
  • 高橋源一郎『一億三千万人のための『論語』教室』(河出新書)河出書房新社、2019年
  • 太宰春台『論語古訓外傳』嵩山房、1745年
  • 武内義雄『論語之研究』岩波書店、1939年
  • 武内義雄『論語』(岩波文庫)岩波書店、1943年
  • 田所義行『新評論語 上・下』東京堂出版、1971・72年
  • 藤堂明保『論語』(中国の古典 1)学習研究社、1981年
  • 野中根太郎『全文完全対照版 論語コンプリート』誠文堂新光社、2016年
  • 野間文史『論語注疏訓讀』明徳出版社、2022年
  • 平岡武夫『論語』(全釈漢文大系 1)集英社、1980年
  • 吹野安/石本道明『孔子全書 1~10 論語 1~10』明徳出版社、1999~2006年
  • 藤塚鄰『論語總説』国書刊行会、1988年
  • 穂積重遠『新訳論語』(講談社学術文庫)講談社、1981年
  • 宮崎市定『論語の新研究』岩波書店、1974年
  • 諸橋轍次「論語人物考」『諸橋轍次著作集 第七巻』大修館書店、1977年
  • 諸橋轍次『論語の講義 新装版』大修館書店、1989年
  • 『漢文大系(一)大學説・中庸説・論語集説・孟子定本』冨山房、1909年
  • 山田勝美『論語』(角川文庫)角川書店、1985年
  • 『要説 論語・孟子』日栄社、1969年
  • 吉川幸次郎『論語 上・下』(朝日選書 中国古典選)朝日新聞社、1996年
  • 吉田賢抗『論語』(新釈漢文大系 1)明治書院、1960年
  • 「論語義疏(校本・校勘記)」『武内義雄全集 第一巻 論語篇』角川書店、1978年
  • 渡邉義浩主編『全譯 論語集解 上・下』汲古書院、2020年
  • 渡邉義浩『『論語』 孔子の言葉はいかにつくられたか』(講談社選書メチエ)講談社、2021年
  • 〔国外〕
  • 〔梁〕皇侃撰/高尚榘校點『論語義疏』(中国思想史資料叢刊)中華書局、2013年
  • 〔清〕阮元校刻『十三經注疏(附校勘記) 下册』中華書局、1991年
  • 『論語何氏等集解・孝經唐玄宗注』臺灣中華書局、1974年
  • 〔清〕劉寳楠撰/高流水點校『論語正義 上・下』(十三經清人注疏)中華書局、1990年
  • 洪業/聶崇岐/李書春/趙豊田/馬錫用編纂『孟子論語引得』上海古籍出版社、1986年