老子:徳経:謙徳第六十一
謙德第六十一
大國者下流。天下之交、天下之牝。牝常以靜勝牡。以靜爲下。
大国は下流なり。天下の交なり。天下の牝なり。牝は常に静を以て牡に勝つ。静を以て下ることを為すなり。
- ウィキソース「老子河上公章句/德經」参照。
- 下流 … 大河の下流。
- 天下之交 … 世界の流れが集まる交わるところ。
- 牝 … 女性的なもの。
- 牡 … 男性。
- 下 … へりくだる。
故大國以下小國、則取小國。小國以下大國、則取大國。故或下以取、或下而取。
故に大国以て小国に下れば、則ち小国を取る。小国以て大国に下れば、則ち大国に取らる。故に或いは下りて以て取り、或いは下りて取らる。
- 取 … 信頼される。
大國不過欲兼畜人、小國不過欲入事人。夫兩者各得其所欲、大者宜爲下。
大国は人を兼ね畜わんと欲するに過ぎず、小国は入りて人に事えんと欲するに過ぎず。夫れ両者は各〻其の欲する所を得んとせば、大なる者は宜しく下ることを為すべし。
- 畜 … 養う。