老子:徳経:天道第七十七
天道第七十七
天之道其猶張弓乎。髙者抑之、下者擧之。有餘者損之、不足者補之。
天の道は其れ猶お弓を張るがごときか。高き者は之を抑え、下き者は之を挙ぐ。余り有る者は之を損し、足らざる者は之を補う。
- ウィキソース「老子河上公章句/德經」参照。
- 高者 … 弓の真ん中の高い部分。
- 下者 … 弓の両端の低い部分。
- 補 … 底本では「與」に作るが、二十二子所収王弼本・傅奕本等に従い改めた。
天之道損有餘而補不足。人之道則不然。損不足以奉有餘。
天の道は余り有るを損して足らざるを補う。人の道は則ち然らず。足らざるを損して以て余り有るに奉ず。
- 損 … 減らす。
孰能有餘以奉天下。唯有道者。
孰か能く余り有るを以て天下に奉ぜん。唯だ有道の者のみ。
- 奉 … 奉仕する。
- 有道者 … 道を体得した者。
是以聖人、爲而不恃、功成而不處、其不欲見賢。
是を以て聖人は、為して恃まず、功成りて処らず、其れ賢を見わすことを欲せず。
- 賢 … 自分の賢さ。