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老子:道経:安民第三

安民第三
不尚賢、使民不爭。不貴難得之貨、使民不爲盗。不見可欲、使民心不亂。
けんたっとばざれば、たみをしてあらそわざらしむ。がたきのたっとばざれば、たみをしてとうさざらしむ。ほっすべきをしめさざれば、たみこころをしてみだれざらしむ。
  • ウィキソース「老子河上公章句/上」参照。
  • 尚 … 尊重する。
  • 賢 … 賢者。
  • 使 … 使役を表す。「~(をして)…(せ)しむ」と読み、「~に…させる」と訳す。
  • 難得之貨 … 手に入れることの難しい財貨。「第十二章」にも見える。
  • 不見可欲 … ほしがるようなものを見せない。
  • 使民心不乱 … 人民の心を乱れさせない。「民」の字は、底本及び道蔵所収王弼おうひつ本にはないが、えき本・二十二子所収王弼本等にあるので補った。
是以聖人治、虚其心、實其腹、弱其志、強其骨、常使民無知無欲、使夫知者不敢爲也。爲無爲、則無不治。
ここもっ聖人せいじんは、こころむなしくして、はらたし、こころざしよわくして、ほねつよくし、つねたみをして無知むちよくならしめ、しゃをしてえてさざらしむ。無為むいせば、すなわおさまらざるし。
  • 是以 … 「ここをもって」と読み、「それゆえに」「だから」と訳す。「以是」は「これをもって」と読み、「この点から」「これにより」と訳す。
  • 聖人 … 無為自然の道を体得した人。儒家の「最も高い人徳を身につけ、知恵のすぐれた人」という意味ではない。
  • 治 … 治めかた。
  • 虚其心 … 人民の心を無欲にする。
  • 実其腹 … 人民を腹いっぱいにさせる。
  • 弱其志 … 人民を無知にして、高きを望む志を弱める。
  • 強其骨 … 身体を丈夫にしておく。
  • 夫知者 … あの、才知ある者。「夫」は「かの」と読み、「あの」「例の」と訳す。
  • 不敢 … 「あえて~せず」と読み、「~するようなことはしない」「決して~しない」と訳す。
  • 為無為 … 無為の政治を施せば。
  • 無不 … 二重否定。「~ざるなし」と読み、「~しないものはない(かならず~なのだ)」と訳す。
道経
体道第一 養身第二
安民第三 無源第四
虚用第五 成象第六
韜光第七 易性第八
運夷第九 能為第十
無用第十一 検欲第十二
猒恥第十三 賛玄第十四
顕徳第十五 帰根第十六
淳風第十七 俗薄第十八
還淳第十九 異俗第二十
虚心第二十一 益謙第二十二
虚無第二十三 苦恩第二十四
象元第二十五 重徳第二十六
巧用第二十七 反朴第二十八
無為第二十九 倹武第三十
偃武第三十一 聖徳第三十二
弁徳第三十三 任成第三十四
仁徳第三十五 微明第三十六
為政第三十七  
徳経
論徳第三十八 法本第三十九
去用第四十 同異第四十一
道化第四十二 徧用第四十三
立戒第四十四 洪徳第四十五
倹欲第四十六 鑒遠第四十七
忘知第四十八 任徳第四十九
貴生第五十 養徳第五十一
帰元第五十二 益証第五十三
修観第五十四 玄符第五十五
玄徳第五十六 淳風第五十七
順化第五十八 守道第五十九
居位第六十 謙徳第六十一
為道第六十二 恩始第六十三
守微第六十四 淳徳第六十五
後己第六十六 三宝第六十七
配天第六十八 玄用第六十九
知難第七十 知病第七十一
愛己第七十二 任為第七十三
制惑第七十四 貪損第七十五
戒強第七十六 天道第七十七
任信第七十八 任契第七十九
独立第八十 顕質第八十一