老子:道経:虚用第五
虛用第五
天地不仁、以萬物爲芻狗。聖人不仁、以百姓爲芻狗。
天地は仁ならず、万物を以て芻狗と為す。聖人は仁ならず、百姓を以て芻狗と為す。
- ウィキソース「老子河上公章句/上」参照。
- 仁 … 仁愛。儒教の最高の徳目。
- 芻狗 … わらで作った犬の模型。祭祀に用い、祭祀が終われば捨てる。
- 以百姓為芻狗 … わらで作った犬のように人民を扱う。百姓は人民。
天地之間、其猶槖籥乎。虛而不屈、動而愈出。
天地の間は、其れ猶お槖籥のごときか。虚にして屈きず、動きて愈〻出づ。
- 槖籥 … ふいご。
- 虚 … からっぽ。
- 不屈 … 尽きない。傅奕本では「不詘」に作る。
- 動而愈出 … 動けば動くほど、万物が生まれ出てくる。
多言數窮。不如守中。
多言は数〻窮す。中を守るに如かず。
- 多言 … 言葉が多いこと。饒舌。
- 窮 … 行き詰まる。
- 不如守中 … 虚心な態度を持するのが一番よい。「中」は「盅」の仮借。からっぽ。