老子:道経:益謙第二十二
益謙第二十二
曲則全、枉則直。窪則盈、敝則新。少則得、多則惑。
曲なれば則ち全く、枉なれば則ち直し。窪なれば則ち盈ち、敝なれば則ち新なり。少なければ則ち得、多ければ則ち惑う。
- ウィキソース「老子河上公章句/上」参照。
- 枉 … 曲がる。曲げる。身をかがめる。
- 窪 … くぼむ。
是以聖人抱一、爲天下式。不自見、故明。不自是、故彰。不自伐、故有功。不自矜、故長。
是を以て聖人は一を抱き、天下の式と為る。自ら見わさず、故に明らかなり。自ら是とせず、故に彰る。自ら伐らず、故に功あり。自ら矜らず、故に長し。
- 式 … 模範。手本。
夫唯不爭、故天下莫能與之爭。古之所謂曲則全者、豈虚言哉。誠全而歸之。
夫れ唯だ争わず、故に天下能く之と争う莫し。古の所謂曲なれば則ち全しとは、豈に虚言ならんや。誠に全くして之を帰す。
- 虚言 … いつわりの言葉。でたらめ。