老子:徳経:守道第五十九
守道第五十九
治人事天、莫若嗇。夫唯嗇、是謂早服。
人を治め天に事うるは、嗇に若くは莫し。夫れ唯だ嗇、是を早く服すと謂う。
- ウィキソース「老子河上公章句/德經」参照。
- 嗇 … 吝嗇。節約する。無駄を省く。慎ましくする。
- 是謂 … 傅奕本では「是以」に作る。
- 早服 … 速やかに道に従う。「服」は、服従。
早服謂之重積德。重積德、則無不克。
早く服する、之を重ねて徳を積むと謂う。重ねて徳を積めば、則ち克たざる無し。
- 克 … 打ち勝つ。克服する。底本では「剋」に作るが、道蔵所収王弼本・傅奕本等に従い改めた。同義。
無不克、則莫知其極。莫知其極、可以有國。
克たざる無ければ、則ち其の極を知る莫し。其の極を知る莫ければ、以て国を有つ可し。
- 克 … 打ち勝つ。克服する。底本では「剋」に作るが、道蔵所収王弼本・傅奕本等に従い改めた。同義。
- 極 … 能力の限界。
- 有国 … 国家を保有する。国家を治める。
有國之母、可以長久。是謂深根固柢、長生久視之道。
国の母を有てば、以て長久なる可し。是を根を深くし柢を固くし、長生久視の道と謂う。
- 国之母 … 「嗇」を指す。
- 柢 … 木の根。物事の根本。底本では「蔕」に作るが、道蔵所収王弼本・傅奕本等に従い改めた。
- 久視 … 長生きすること。「視」は、生きるの意。「長生」と同じ。