老子:徳経:洪徳第四十五
洪德第四十五
大成若缺、其用不弊。
大成は欠くるが若くなれども、其の用は弊れず。
- ウィキソース「老子河上公章句/德經」参照。
- 大成 … 立派に完成したもの。
- 若欠 … 欠けているように見えるが。「缺」は「欠」の旧字。
- 用 … はたらき。
- 不弊 … 衰えることがない。
大盈若沖、其用不窮。
大盈は沖しきが若くなれども、其の用は窮まらず。
- 沖 … 底本では「冲」に作るが、道蔵所収王弼本・傅奕本等に従い改めた。「冲」は「沖」の俗字。
大直若詘、大巧若拙、大辯若訥。
大直は詘するが若く、大功は拙なるが若く、大弁は訥なるが若し。
- 詘 … 底本では「屈」に作るが、傅奕本に従い改めた。「屈」は「詘」の仮借。
躁勝寒、靜勝熱。清靜爲天下正。
躁は寒に勝ち、静は熱に勝つ。清静は天下の正と為る。
- 清静 … さっぱりとして、静かに落ち着いているさま。