老子:徳経:帰元第五十二
歸元第五十二
天下有始、以爲天下母。既知其母、復知其子、既知其子、復守其母、没身不殆。
天下に始め有り、以て天下の母と為す。既に其の母を知り、復其の子を知り、既に其の子を知りて、復其の母を守れば、身を没するまで殆うからず。
- ウィキソース「老子河上公章句/德經」参照。
- 其子 … 万物を指す。
塞其兌、閇其門、終身不勤。開其兌、濟其事、終身不救。
其の兌を塞ぎ、其の門を閉ずれば、終身勤れず。其の兌を開き、其の事を済せば、終身救われず。
- 兌 … 穴。
- 閇 … 「閉」の異体字。
見小曰明、守柔曰強。用其光、復歸其明、無遺身殃。是謂習常。
小を見るを明と曰い、柔を守るを強と曰う。其の光を用いて、其の明に復帰せば、身の殃を遺すこと無し。是を習常と謂う。
- 守柔曰強 … 底本では「守柔日強」に作るが、道蔵所収王弼本・道蔵所収河上公本等に従い改めた。