老子:徳経:貪損第七十五
貪損第七十五
民之飢、以其上食税之多。是以飢。
民の飢うるは、其の上の税を食むことの多きを以てなり。是を以て飢う。
- ウィキソース「老子河上公章句/德經」参照。
- 民之飢 … 人民が飢えに苦しむこと。二十二子所収王弼本では「民之饑」に作る。
- 上 … 君主。為政者。
- 食税之多 … 多くの税を取り立てる。
民之難治、以其上之有爲。是以難治。
民の治め難きは、其の上の為すこと有るを以てなり。是を以て治め難し。
- 其上之有為 … 為政者が余計な政策を行う。
民之輕死、以其上求生之厚。是以輕死。
民の死を軽んずるは、其の上の生を求むることの厚きを以てなり。是を以て死を軽んず。
- 其上求生之厚 … 為政者があまりにも生に執着し過ぎる。
- 上 … 底本にはないが、傅奕本にはあるので補った。
夫唯無以生爲者、是賢於貴生。
夫れ唯だ生を以て為すこと無き者は、是れ生を貴ぶより賢る。
- 無以生為者 … 生にことさら執着しない者。