老子:徳経:淳徳第六十五
淳德第六十五
古之善爲道者、非以明民、將以愚之。
古の善く道を為す者は、以て民を明らかにするに非ず、将に以て之を愚かにせんとす。
- ウィキソース「老子河上公章句/德經」参照。
- 愚 … 愚直。
民之難治、以其智多。故以智治國、國之賊。不以智治國、國之福。
民の治め難きは、其の智多きを以てなり。故に智を以て国を治むるは、国の賊なり。智を以て国を治めざるは、国の福なり。
- 智 … 知恵。
- 故 … 底本にはないが、道蔵所収王弼本・傅奕本等にはあるので補った。
知此兩者、亦楷式。
此の両者を知れば、亦た楷式なり。
- 楷式 … 法式。手本。規則。法則。傅奕本・道蔵所収王弼本等では「稽式」に作る。
常知楷式、是謂玄德。
常に楷式を知る、是を玄徳と謂う。
- 楷式 … 法式。手本。規則。法則。傅奕本・道蔵所収王弼本等では「稽式」に作る。
- 玄徳 … 玄妙な徳。
玄德深矣、遠矣、與物反矣。乃至於大順。
玄徳は深し、遠し、物と反す。乃ち大順に至る。
- 乃至於大順 … 傅奕本では「乃復至於大順」、道蔵所収王弼本・道蔵所収河上公本等では「然後乃至大順」に作る。