六韜:戦歩第六十
武王問太公曰、歩兵與車騎戰奈何。
武王、太公に問うて曰く、歩兵、車騎と戦うには奈何。
- ウィキソース「六韜」参照。
- 與 … 底本にこの字はないが、『直解』にあるので補った。
太公曰、歩兵與車騎戰者、必依丘陵險阻、長兵強弩居前、短兵弱弩居後、更發更止。敵之車騎雖衆而至、堅陣疾戰、材士強弩、以備我後。
太公曰く、歩兵、車騎と戦うには、必ず丘陵険阻に依り、長兵、強弩は前に居き、短兵、弱弩を後ろに居き、更〻発し更〻止めよ。敵の車騎、衆にして至ると雖も、堅く陣し疾く戦い、材士、強弩、以て我が後ろに備えよ。
武王曰、吾無丘陵、又無險阻、敵人之至、既衆且武。車騎翼我兩旁、獵我前後、吾三軍恐怖、亂敗而走。爲之奈何。
武王曰く、吾に丘陵無く、又険阻無く、敵人の至るや、既に衆くして且つ武なり。車騎、我が両旁を翼み、我が前後を猟らば、吾が三軍は恐怖し、乱れ敗れて走らん。之を為すこと奈何。
太公曰、令我士卒爲行馬、木蒺藜、置牛馬隊伍、爲四武衝陣、望敵車騎將來、均置蒺藜、掘地匝後、廣深五尺。名曰命籠。
太公曰く、我が士卒をして行馬、木蒺藜を為り、牛馬の隊伍を置き、四武の衝陣を為らしめ、敵の車騎の将に来らんとするを望みて、均しく蒺藜を置き、地を掘りて後ろに匝し、広深五尺とす。名づけて命篭と曰う。
人操行馬進歩、闌車以爲壘、推而前後、立而爲屯、材士、強弩、備我左右、然後令我三軍、皆疾戰而不解。
人ごとに行馬を操りて進歩し、車を闌りて以て塁と為し、推して前後し、立てて屯と為し、材士、強弩、我が左右に備え、然る後に我が三軍をして、皆疾く戦うて解ず。
武王曰、善哉。
武王曰く、善きかな。
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