六韜:少衆第四十九
武王問太公曰、吾欲以少撃衆、以弱撃強。爲之奈何。
武王、太公に問うて曰く、吾、少きを以て衆きを撃ち、弱きを以て強きを撃たんと欲す。之を為すこと奈何。
- ウィキソース「六韜」参照。
- 強 … 底本では「彊」に作るが、『直解』に従い改めた。
太公曰、以少撃衆者、必以日之暮、伏於深草、要之隘路。以弱撃強者、必得大國之與、隣國之助。
太公曰く、少きを以て衆きを撃つは、必ず日の暮を以て深草に伏し、之を隘路に要せよ。弱きを以て強きを撃つは、必ず大国の与と隣国の助けとを得よ。
- 強 … 底本では「彊」に作るが、『直解』に従い改めた。
- 大國之與 … 底本では「大國而與」に作るが、『直解』に従い改めた。
武王曰、我無深草、又無隘路、敵人已至、不適日暮、我無大國之與、又無隣國之助。爲之奈何。
武王曰く、我に深草無く、又隘路無く、敵人已に至り、日暮に適らず、我に大国の与無く、又隣国の助け無し。之を為すこと奈何。
太公曰、妄張詐誘、以熒惑其將、迂其途、令過深草、遠其路、令會日暮。
太公曰く、妄りに張り詐り誘い、以て其の将を熒惑し、其の途を迂げて深草を過らしめ、其の路を遠くして日暮に会わしむ。
- 途 … 底本では「道」に作るが、『直解』に従い改めた。
- 日暮 … 底本では「日路」に作るが、『直解』に従い改めた。
前行未渡水、後行未及舎、發我伏兵、疾撃其左右、車騎擾亂其前後。敵人雖衆、其將可走。
前行は未だ水を渡らず、後行は未だ舎に及ばざるに、我が伏兵を発して、疾く其の左右を撃ち、車騎其の前後を擾乱す。敵人衆しと雖も、其の将走らす可し。
事大國之君、下鄰國之士、厚其幣、卑其辭。如此、則得大國之與、鄰國之助矣。
大国の君に事え、隣国の士に下り、其の幣を厚くし、其の辞を卑くせよ。此の如くせば、則ち大国の与、隣国の助けを得ん。
武王曰、善哉。
武王曰く、善きかな。
巻一 文韜 | |
文師第一 | 盈虚第二 |
国務第三 | 大礼第四 |
明伝第五 | 六守第六 |
守土第七 | 守国第八 |
上賢第九 | 挙賢第十 |
賞罰第十一 | 兵道第十二 |
巻二 武韜 | |
発啓第十三 | 文啓第十四 |
文伐第十五 | 順啓第十六 |
三疑第十七 |
巻三 竜韜 | |
王翼第十八 | 論将第十九 |
選将第二十 | 立将第二十一 |
将威第二十二 | 励軍第二十三 |
陰符第二十四 | 陰書第二十五 |
軍勢第二十六 | 奇兵第二十七 |
五音第二十八 | 兵徴第二十九 |
農器第三十 |
巻四 虎韜 | |
軍用第三十一 | 三陣第三十二 |
疾戦第三十三 | 必出第三十四 |
軍略第三十五 | 臨境第三十六 |
動静第三十七 | 金鼓第三十八 |
絶道第三十九 | 略地第四十 |
火戦第四十一 | 塁虚第四十二 |
巻五 豹韜 | |
林戦第四十三 | 突戦第四十四 |
敵強第四十五 | 敵武第四十六 |
烏雲山兵第四十七 | 烏雲沢兵第四十八 |
少衆第四十九 | 分険第五十 |
巻六 犬韜 | |
分合第五十一 | 武鋒第五十二 |
練士第五十三 | 教戦第五十四 |
均兵第五十五 | 武車士第五十六 |
武騎士第五十七 | 戦車第五十八 |
戦騎第五十九 | 戦歩第六十 |