六韜:練士第五十三
武王問太公曰、練士之道奈何。
武王、太公に問うて曰く、練士の道は奈何。
- ウィキソース「六韜」参照。
太公曰、軍中有大勇力敢死樂傷者、聚爲一卒、名曰冐刃之士。
太公曰く、軍中に大勇力にして敢死して傷つくを楽しむ者有れば、聚めて一卒と為し、名づけて冒刃の士と曰う。
- 大勇力敢死 … 底本では「大勇敢死」に作るが、『直解』に従い改めた。
有鋭氣壯勇強暴者、聚爲一卒、名曰陷陳之士。
鋭気壮勇、強暴なる者有れば、聚めて一卒と為し、名づけて陥陣の士と曰う。
- 強 … 底本では「彊」に作るが、『直解』に従い改めた。
有奇表長劒、接武齊列者、聚爲一卒、名曰勇鋭之士。
奇表長剣、武を接し列を斉しくする者有れば、聚めて一卒と為し、名づけて勇鋭の士と曰う。
有披距伸鈎、強梁多力、潰破金皷、絶滅旌旗者、聚爲一卒、名曰勇力之士。
距を披き鈎を伸べ、強梁多力にして、金鼓を潰破し、旌旗を絶滅する者有れば、聚めて一卒と為し、名づけて勇力の士と曰う。
- 強 … 底本では「彊」に作るが、『直解』に従い改めた。
有踰高絶遠、輕足善走者、聚爲一卒、名曰寇兵之士。
高きを踰え遠きを絶り、軽足にして善く走る者有れば、聚めて一卒と為し、名づけて寇兵の士と曰う。
有王臣失勢、欲復見功者、聚爲一卒、名曰死闘之士。
王臣、勢を失い、復た功を見さんと欲する者有れば、聚めて一卒と為し、名づけて死闘の士と曰う。
有死將之人子弟、欲爲其將報仇者、聚爲一卒、名曰死憤之士。
死将の人の子弟にして、其の将の為に仇を報いんと欲する者有れば、聚めて一卒と為し、名づけて死憤の士と曰う。
- 欲爲其將報仇者 … 底本では「欲與其將報仇者」に作るが、『直解』に従い改めた。
- 死憤 … 底本では「敢死」に作るが、『直解』に従い改めた。
有貧窮忿怒、欲快其志者、聚爲一卒、名曰必死之士。
貧窮にして忿怒し、其の志を快くせんと欲する者有れば、聚めて一卒と為し、名づけて必死の士と曰う。
- この一文は、底本では次の「有贅婿人虜~名曰勵鈍之士」の後ろにあるが、『直解』に従い改めた。
- 忿怒 … 底本では「憤怒」に作るが、『直解』に従い改めた。
- 志 … 底本では「心」に作るが、『直解』に従い改めた。
有贅婿人虜、欲掩迹揚名者、聚爲一卒、名曰勵鈍之士。
贅婿、人虜にして、迹を掩い名を揚げんと欲する者有れば、聚めて一卒と為し、名づけて励鈍の士と曰う。
有胥靡免罪之人、欲逃其耻者、聚爲一卒、名曰幸用之士。
胥靡免罪の人にして、其の恥を逃れんと欲する者有れば、聚めて一卒と為し、名づけて幸用の士と曰う。
- 幸用 … 底本では「倖用」に作るが、『直解』に従い改めた。
有材技兼人、能負重致遠者、聚爲一卒、名曰待命之士。
材技、人を兼ね、能く重きを負い遠きを致す者有れば、聚めて一卒と為し、名づけて待命の士と曰う。
此軍之練士、不可不察也。
此れ軍の練士なり、察せざる可からざるなり。
- 練士 … 底本では「服習」に作るが、『直解』に従い改めた。
巻一 文韜 | |
文師第一 | 盈虚第二 |
国務第三 | 大礼第四 |
明伝第五 | 六守第六 |
守土第七 | 守国第八 |
上賢第九 | 挙賢第十 |
賞罰第十一 | 兵道第十二 |
巻二 武韜 | |
発啓第十三 | 文啓第十四 |
文伐第十五 | 順啓第十六 |
三疑第十七 |
巻三 竜韜 | |
王翼第十八 | 論将第十九 |
選将第二十 | 立将第二十一 |
将威第二十二 | 励軍第二十三 |
陰符第二十四 | 陰書第二十五 |
軍勢第二十六 | 奇兵第二十七 |
五音第二十八 | 兵徴第二十九 |
農器第三十 |
巻四 虎韜 | |
軍用第三十一 | 三陣第三十二 |
疾戦第三十三 | 必出第三十四 |
軍略第三十五 | 臨境第三十六 |
動静第三十七 | 金鼓第三十八 |
絶道第三十九 | 略地第四十 |
火戦第四十一 | 塁虚第四十二 |
巻五 豹韜 | |
林戦第四十三 | 突戦第四十四 |
敵強第四十五 | 敵武第四十六 |
烏雲山兵第四十七 | 烏雲沢兵第四十八 |
少衆第四十九 | 分険第五十 |
巻六 犬韜 | |
分合第五十一 | 武鋒第五十二 |
練士第五十三 | 教戦第五十四 |
均兵第五十五 | 武車士第五十六 |
武騎士第五十七 | 戦車第五十八 |
戦騎第五十九 | 戦歩第六十 |