六韜:林戦第四十三
武王問太公曰、引兵深入諸侯之地、遇大林、與敵分林相拒、吾欲以守則固、以戰則勝。爲之奈何。
武王、太公に問うて曰く、兵を引いて深く諸侯の地に入り、大林に遇い、敵と林を分ちて相拒ぐに、吾以て守れば則ち固く、以て戦わば則ち勝たんと欲す。之を為すこと奈何。
- ウィキソース「六韜」参照。
- 敵分 … 『直解』では「敵人分」に作る。
太公曰、使吾三軍分爲衝陳、便兵所處、弓弩爲表、戟楯爲裏、斬除草木、極廣吾道、以便戰所、高置旌旗、謹勅三軍、無使敵人知吾之情。是謂林戰。
太公曰く、吾が三軍をして、分ちて衝陣を為し、兵の処る所に便ならしめ、弓弩を表と為し、戟楯を裏と為し、草木を斬除し、極めて吾が道を広くし、以て戦所を便にし、高く旌旗を置き、謹んで三軍を勅め、敵人をして吾が情を知らしむる無かれ。是れを林戦と謂う。
林戰之法、率吾矛戟、相與爲伍、林間木踈、以騎爲輔、戰車居前、見便則戰、不見便則止。林多險阻、必置衝陳、以備前後。三軍疾戰、敵人雖衆、其將可走。更戰更息、各按其部。是謂林戰之紀。
林戦の法は、吾が矛戟を率いて、相与に伍を為し、林間の木踈なれば、騎を以て輔と為し、戦車は前に居り、便を見れば則ち戦い、便を見ざれば則ち止まれ。林に険阻多ければ、必ず衝陣を置き、以て前後に備えよ。三軍疾く戦わば、敵人衆しと雖も、其の将走らす可し。更〻戦い更〻息い、各〻其の部を按ず。是れを林戦の紀と謂う。
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