六韜:塁虚第四十二
武王問太公曰、何以知敵壘之虚實、自來自去。
武王、太公に問うて曰く、何を以てか、敵塁の虚実、自ら来り自ら去るを知らん。
- ウィキソース「六韜」参照。
太公曰、將必上知天道、下知地理、中知人事、登高下望、以觀敵之變動。望其壘則知其虚實、望其士卒則知其去來。
太公曰く、将は必ず上は天道を知り、下は地理を知り、中は人事を知り、高きに登り下望して、以て敵の変動を観る。其の塁を望めば則ち其の虚実を知り、其の士卒を望めば則ち其の去来を知る。
- 去來 … 『直解』では「來去」に作る。
武王曰、何以知之。
武王曰く、何を以てか之を知らん。
太公曰、聽其鼓無音、鐸無聲、望其壘上、多飛鳥而不驚、上無氛氣、必知敵詐而爲偶人也。
太公曰く、其の鼓を聴くに音無く、鐸に声無く、其の塁上を望むに、飛鳥多くして驚かず、上に氛気無きは、必ず敵詐りて偶人を為ることを知るなり。
敵人卒去不遠、未定而復返者、彼用其士卒太疾也。太疾則前後不相次。不相次則行陳必亂。如此者、急出兵撃之。以少撃衆、則必敗矣。
敵人卒かに去りて遠ざからず、未だ定まらずして復た返るは、彼、其の士卒を用うること太だ疾きなり。太だ疾ければ則ち前後相次がず。相次がざれば則ち行陣必ず乱る。此の如き者は、急に兵を出して之を撃て。少を以て衆を撃つも、則ち必ず敗れん。
- 返 … 『直解』では「反」に作る。
- 敗 … 底本では「勝」に作るが、『直解』に従い改めた。
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