六韜:陰書第二十五
武王問太公曰、引兵深入諸侯之地、主將欲合兵行無窮之變、圖不測之利。其事繁多、符不能明、相去遼遠、言語不通。爲之奈何。
武王、太公に問うて曰く、兵を引きて深く諸侯の地に入り、主と将と、兵を合して無窮の変を行い、不測の利を図らんと欲す。其の事繁多にして、符も明らかにすること能わず、相去ること遼遠にして、言語も通ぜず。之を為すこと奈何。
- ウィキソース「六韜」参照。
太公曰、諸有陰事大慮、當用書不用符。主以書遺將、將以書問主。書皆一合而再離、三發而一知。
太公曰く、諸〻の陰事大慮有れば、当に書を用いて符を用いざるべし。主は書を以て将に遺り、将は書を以て主に問う。書は皆一合して再離し、三発して一知す。
再離者、分書爲三部。三發而一知者、言三人、人操一分、相參而不使知情也。此謂陰書。敵雖聖智、莫之能識。
再離とは、書を分ちて三部と為す。三発して一知すとは、三人、人ごとに一分を操り、相参えて情を知らしめざるを言うなり。此を陰書を謂う。敵、聖智ありと雖も、之を能く識る莫し。
- 不使 … 底本では「不相」に作るが、『直解』に従い改めた。
武王曰、善哉。
武王曰く、善いかな。
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