六韜:絶道第三十九
武王問太公曰、引兵深入諸侯之地、與敵相守、敵人絶我粮道、又越我前後、吾欲戰則不可勝、欲守則不可久。爲之奈何。
武王、太公に問うて曰く、兵を引いて深く諸侯の地に入り、敵と相守りて、敵人、我が糧道を絶ち、又我が前後を越え、吾、戦わんと欲すれば則ち勝つ可からず、守らんと欲すれば則ち久しくす可からず。之を為すこと奈何。
- ウィキソース「六韜」参照。
太公曰、凡深入敵人之境、必察地之形勢、務求便利、依山林險阻、水泉林木、而爲之固、謹守關梁、又知城邑丘墓地形之利。如是則我軍堅固、敵人不能絶我粮道、又不能越我前後。
太公曰く、凡そ深く敵人の境に入れば、必ず地の形勢を察し、務めて便利を求め、山林、険阻、水泉、林木に依りて、之が固めと為し、謹んで関梁を守り、又城邑、丘墓、地形の利を知れ。是の如くならば、則ち我が軍堅固にして、敵人我が糧道を絶つこと能わず、又、我が前後を越ゆること能わず。
- 敵人之境 … 底本では「敵人之地」に作るが、『直解』に従い改めた。
武王曰、吾三軍過大林廣澤平易之地、吾候望誤失、卒與敵人相薄、以戰則不勝、以守則不固、敵人翼我兩旁、越我前後、三軍大恐。爲之奈何。
武王曰く、吾が三軍、大林、広沢、平易の地を過ぎ、吾が候望誤り失して、卒かに敵人と相薄り、以て戦えば則ち勝たず、以て守れば則ち固からず、敵人我が両旁を翼い、我が前後を越え、三軍大いに恐る。之を為すこと奈何。
- 大林 … 底本では「大陵」に作るが、『直解』に従い改めた。
- 吾候望誤失 … 底本では「吾盟誤失」に作るが、『直解』に従い改めた。
太公曰、凡帥師之法、當先發遠候、去敵二百里、審知敵人所在。
太公曰く、凡そ師を帥いるの法は、当に先ず遠候を発し、敵を去ること二百里にして、審らかに敵人の在る所を知るべし。
地勢不利、則以武衝爲壘而前、又置兩踵軍於後、遠者百里、近者五十里。即有警急、前後相知、吾三軍常完堅、必無毀傷。
地勢利ならずんば、則ち武衝を以て塁と為して前み、又、両踵軍を後ろに置き、遠き者は百里、近き者は五十里にせよ。即し警急有らば、前後相知り、吾が三軍常に完堅にして、必ず毀傷すること無からん。
- 武衝 … 底本では「武衞」に作るが、『直解』に従い改めた。
- 前後相知 … 底本では「前後相救」に作るが、『直解』に従い改めた。
武王曰、善哉。
武王曰く、善きかな。
巻一 文韜 | |
文師第一 | 盈虚第二 |
国務第三 | 大礼第四 |
明伝第五 | 六守第六 |
守土第七 | 守国第八 |
上賢第九 | 挙賢第十 |
賞罰第十一 | 兵道第十二 |
巻二 武韜 | |
発啓第十三 | 文啓第十四 |
文伐第十五 | 順啓第十六 |
三疑第十七 |
巻三 竜韜 | |
王翼第十八 | 論将第十九 |
選将第二十 | 立将第二十一 |
将威第二十二 | 励軍第二十三 |
陰符第二十四 | 陰書第二十五 |
軍勢第二十六 | 奇兵第二十七 |
五音第二十八 | 兵徴第二十九 |
農器第三十 |
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軍用第三十一 | 三陣第三十二 |
疾戦第三十三 | 必出第三十四 |
軍略第三十五 | 臨境第三十六 |
動静第三十七 | 金鼓第三十八 |
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巻五 豹韜 | |
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