文王問太公曰、賞所以存勸、罰所以示懲。吾欲賞一以勸百、罰一以懲衆。爲之奈何。
文王、太公に問うて曰く、賞は勧を存する所以にして、罰は懲を示す所以なり。吾、一を賞して以て百を勧め、一を罰して以て衆を懲らさんと欲す。之を為すこと奈何。
太公曰、凡用賞者貴信、用罰者貴必。賞信罰必、於耳目之所聞見、則所不聞見者、莫不陰化矣。夫誠暢於天地、通於神明。而况於人乎。
太公曰く、凡そ賞を用うるには信を貴び、罰を用うるには必を貴ぶ。賞信、罰必、耳目の聞見する所に於いてすれば、則ち聞見せざる所の者も、陰に化せざるは莫し。夫れ誠は天地に暢び、神明に通ず。而るを况んや人に於いてをや。