六韜:挙賢第十
文王問太公曰、君務舉賢而不能獲其功、世亂愈甚、以致危亡者、何也。太公曰、舉賢而不用。是有舉賢之名、而無用賢之實也。
文王、太公に問うて曰く、君、賢を挙ぐるを務めて、其の功を獲る能わず、世の乱るること愈〻甚だしく、以て危亡を致すは何ぞや。太公曰く、賢を挙ぐるも用いず。是れ賢を挙ぐるの名有りて、賢を用うるの実無きなり。
- ウィキソース「六韜」参照。
- 致 … 底本では「至」に作るが、『直解』に従い改めた。
文王曰、其失安在。太公曰、其失在君好用世俗之所譽、而不得其賢也。
文王曰く、其の失安くにか在る。太公曰く、其の失、君、世俗の誉むる所を用うるを好みて、其の賢を得ざるに在るなり。
- 其賢也 … 底本では「眞賢也」に作るが、『直解』に従い改めた。
文王曰、何如。太公曰、君以世俗之所譽者爲賢、以世俗之所毀者爲不肖、則多黨者進、少黨者退。若是則羣邪比周而蔽賢、忠臣死於無罪、姦臣以虚譽取爵位。是以世亂愈甚、則國不免於危亡。
文王曰く、何如。太公曰く、君、世俗の誉むる所の者を以て賢と為し、世俗の毀る所の者を以て不肖と為せば、則ち党多き者は進み、党少なき者は退く。是の若くなれば、則ち群邪比周して賢を蔽い、忠臣は罪無きに死し、姦臣は虚誉を以て爵位を取る。是を以て世の乱れ愈〻甚だしければ、則ち国危亡を免れず。
文王曰、舉賢奈何。太公曰、將相分職、而各以官名舉人、按名督實、選才考能、令實當其名、名當其實、則得舉賢之道也。
文王曰く、賢を挙ぐること奈何。太公曰く、将相、職を分ちて、各〻官名を以て人を挙げ、名を按じ実を督し、才を選び能を考え、実をして其の名に当り、名をして其の実に当らしむれば、則ち賢を挙ぐるの道を得るなり。
巻一 文韜 | |
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守土第七 | 守国第八 |
上賢第九 | 挙賢第十 |
賞罰第十一 | 兵道第十二 |
巻二 武韜 | |
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文伐第十五 | 順啓第十六 |
三疑第十七 |
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将威第二十二 | 励軍第二十三 |
陰符第二十四 | 陰書第二十五 |
軍勢第二十六 | 奇兵第二十七 |
五音第二十八 | 兵徴第二十九 |
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疾戦第三十三 | 必出第三十四 |
軍略第三十五 | 臨境第三十六 |
動静第三十七 | 金鼓第三十八 |
絶道第三十九 | 略地第四十 |
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巻五 豹韜 | |
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分合第五十一 | 武鋒第五十二 |
練士第五十三 | 教戦第五十四 |
均兵第五十五 | 武車士第五十六 |
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戦騎第五十九 | 戦歩第六十 |