六韜:敵武第四十六
武王問太公曰、引兵深入諸侯之地、卒遇敵人、甚衆且武。武車驍騎、繞我左右、吾三軍皆震、走不可止。爲之奈何。
武王、太公に問うて曰く、兵を引いて深く諸侯の地に入り、卒かに敵人に遇うに、甚だ衆く且つ武なり。武車、驍騎、我が左右を繞り、吾が三軍皆震え、走りて止む可からず。之を為すこと奈何。
- ウィキソース「六韜」参照。
太公曰、如此者謂之敗兵。善者以勝、不善者以亡。
太公曰く、此の如き者は、之を敗兵と謂う。善なる者は以て勝ち、不善なる者は以て亡ぶ。
武王曰、爲之奈何。
武王曰く、之を為すこと奈何。
- 爲 … 底本では「用」に作るが、『直解』に従い改めた。
太公曰、伏我材士強弩、武車驍騎、爲之左右、常去前後三里。敵人逐我、發我車騎、衝其左右。如此則敵人擾亂、吾走者自止。
太公曰く、我が材士、強弩を伏せ、武車、驍騎は之が左右と為し、常に前後を去ること三里ならしむ。敵人、我を逐わば、我が車騎を発して、其の左右を衝かん。此の如くならば、則ち敵人擾乱し、我が走る者自ずから止まらん。
武王曰、敵人與我車騎相當、敵衆我寡、敵強我弱、其來整治精鋭、吾陳不敢當。爲之奈何。
武王曰く、敵人、我が車騎と相当り、敵は衆く我は寡く、敵は強く我は弱く、其の来ること整治精鋭にして、吾が陣、敢えて当らず。之を為すこと奈何。
太公曰、選我材士強弩、伏於左右、車騎堅陳而處。敵人過我伏兵、積弩射其左右、車騎鋭兵、疾撃其軍、或撃其前、或撃其後。敵人雖衆、其將必走。
太公曰く、我が材士、強弩を選びて、左右に伏せ、車騎は堅く陣して処れ。敵人、我が伏兵を過ぎなば、積弩其の左右を射、車騎、鋭兵、疾く其の軍を撃ち、或いは其の前を撃ち、或いは其の後ろを撃て。敵人衆しと雖も、其の将必ず走らん。
武王曰、善哉。
武王曰く、善きかな。
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