六韜:守国第八
文王問太公曰、守國奈何。太公曰、齋。將語君天地之經、四時所生、仁聖之道、民機之情。王齋七日、北面再拜而問之。
文王、太公に問いて曰く、国を守ること奈何。太公曰く、斎せよ。将に君に天地の経、四時の生ずる所、仁聖の道、民機の情を語らんとす。王、斎すること七日、北面再拝して之を問う。
- ウィキソース「六韜」参照。
太公曰、天生四時、地生萬物。天下有民、聖人牧之。故春道生、萬物榮。夏道長、萬物成。秋道斂、萬物盈。冬道藏、萬物靜。盈則藏、藏則復起。莫知所終、莫知所始。聖人配之、以爲天地經紀。
太公曰く、天は四時を生じ、地は万物を生ず。天下に民有り、聖人之を牧す。故に春の道は生じ、万物栄ゆ。夏の道は長じ、万物成る。秋の道は斂め、万物盈つ。冬の道は蔵し、万物静かなり。盈つれば則ち蔵し、蔵すれば則ち復た起る。終る所を知る莫く、始まる所を知る莫し。聖人之に配し、以て天地の経紀と為す。
- 聖人 … 底本では「仁聖」に作るが、『直解』に従い改めた。
- 萬物靜 … 底本では「萬物尋」に作るが、『直解』に従い改めた。
故天下治、仁聖藏、天下亂、仁聖昌、至道其然也。聖人之在天地間也、其寶固大矣。因其常而視之、則民安。夫民動而爲機、機動而得失爭矣。
故に天下治まれば、仁聖蔵れ、天下乱るれば、仁聖昌なり。至道其れ然るなり。聖人の天地の間に在るや、其の宝固に大なり。其の常に因って之を視れば、則ち民安し。夫れ民動きて機を為し、機動きて得失争う。
故發之以其陰、會之以其陽。爲之先唱、而天下和之。極反其常、莫進而爭、莫退而遜。守國如此、與天地同光。
故に之を発するに其の陰を以てし、之を会するに其の陽を以てす。之が為に先ず唱えて、天下之に和す。極まれば其の常に反り、進んで争うこと莫く、退いて遜ること莫し。国を守ること此の如くなれば、天地と光を同じうす。
- 而天下和之 … 底本には「而」の字なし。
- 莫退而遜 … 底本では「莫退而譲」に作るが、『直解』に従い改めた。
巻一 文韜 | |
文師第一 | 盈虚第二 |
国務第三 | 大礼第四 |
明伝第五 | 六守第六 |
守土第七 | 守国第八 |
上賢第九 | 挙賢第十 |
賞罰第十一 | 兵道第十二 |
巻二 武韜 | |
発啓第十三 | 文啓第十四 |
文伐第十五 | 順啓第十六 |
三疑第十七 |
巻三 竜韜 | |
王翼第十八 | 論将第十九 |
選将第二十 | 立将第二十一 |
将威第二十二 | 励軍第二十三 |
陰符第二十四 | 陰書第二十五 |
軍勢第二十六 | 奇兵第二十七 |
五音第二十八 | 兵徴第二十九 |
農器第三十 |
巻四 虎韜 | |
軍用第三十一 | 三陣第三十二 |
疾戦第三十三 | 必出第三十四 |
軍略第三十五 | 臨境第三十六 |
動静第三十七 | 金鼓第三十八 |
絶道第三十九 | 略地第四十 |
火戦第四十一 | 塁虚第四十二 |
巻五 豹韜 | |
林戦第四十三 | 突戦第四十四 |
敵強第四十五 | 敵武第四十六 |
烏雲山兵第四十七 | 烏雲沢兵第四十八 |
少衆第四十九 | 分険第五十 |
巻六 犬韜 | |
分合第五十一 | 武鋒第五十二 |
練士第五十三 | 教戦第五十四 |
均兵第五十五 | 武車士第五十六 |
武騎士第五十七 | 戦車第五十八 |
戦騎第五十九 | 戦歩第六十 |