二十四詩品 十三 精神
- 精神 … 詩風が活発で、生き生きとしていること。
- 來・胎・臺・杯・灰・裁(平声灰韻)。
- ウィキソース「二十四詩品」参照。
欲返不盡、相期與來。
返さんと欲するも尽くさず、相期して与に来る。
- 返 … 反映する。
- 不尽 … はっきりと目に見えるようにすることができない。顕現できない。表現できない。
- 相期 … 時宜にかなうこと。適時。
- 与来 … 一緒にやって来る。表現できるようになる。
明漪絕底、奇花初胎。
明漪底を絶し、奇花初めて胎す。
- 明漪 … 清らかなさざ波。「漪」は、さざ波。
- 絶底 … 川底まで見通す。
- 奇花 … 珍しい花。
- 初胎 … 花のつぼみが少し開き始める。
青春鸚鵡、楊柳樓臺。
青春の鸚鵡、楊柳の楼台。
- 青春 … 春のこと。五行説で「青」は春を表す。
- 鸚鵡 … オウム科の鳥。オウム。ウィキペディア【オウム】参照。
- 楊柳 … 柳の総称。「楊」はカワヤナギ、「柳」はシダレヤナギ。
- 楼台 … 高殿。楼閣。高楼。「樓」は、二家詩品本では「池」に作り、「池一本作樓」との注がある。
碧山人來、清酒深杯。
碧山人来り、清酒杯に深し。
- 碧山 … 青々とした奥深い山。緑の山。
- 人 … 風雅な人。雅士。雅客。雅人。
- 清酒 … 濁りのない酒。
- 深杯 … 満杯。杯に酒を一杯になるまで注ぐこと。「深」は、二家詩品本では「滿」に作り、「滿一本作深」との注がある。
生氣遠出、不著死灰。
生気遠く出で、死灰を著さず。
- 生気 … いきいきした気。活気。
- 遠出 … ここでは充分に現れ出ること。
- 死灰 … 死気。滞った気。
妙造自然、伊誰與裁。
妙は自然に造り、伊れ誰か裁きに与らん。
- 妙 … 作詩上の表現しにくい微妙なところ。
- 自然 … 大自然と同化すること。
- 造 … いたる。ある所まで届く。
- 伊 … 「これ」と読む。語気詞。特に意味はない。潘岳「西征の賦」に「伊れ故郷の懐う可き、聖達の幽情を疚ましむ」(伊故鄉之可懷、疚聖達之幽情)とある。ウィキソース「西征賦」参照。
- 裁 … 裁くこと。裁定すること。評価すること。
- 与 … 関与する。
一 雄渾 | 二 冲淡 |
三 繊穠 | 四 沈著 |
五 高古 | 六 典雅 |
七 洗煉 | 八 勁健 |
九 綺麗 | 十 自然 |
十一 含蓄 | 十二 豪放 |
十三 精神 | 十四 縝密 |
十五 疎野 | 十六 清奇 |
十七 委曲 | 十八 実境 |
十九 悲概 | 二十 形容 |
二十一 超詣 | 二十二 飄逸 |
二十三 曠達 | 二十四 流動 |