二十四詩品 六 典雅
- 典雅 … 詩風が整っていて上品なこと。
- 屋・竹・逐・瀑・菊・讀(入声屋韻)。
- ウィキソース「二十四詩品」参照。
玉壺買春、賞雨茆屋。
玉壺に春を買い、雨を茆屋に賞ず。
- 玉壺 … 玉で作った美しい壺。
- 買春 … 酒を買う。「春」は、酒の名。
- 茆屋 … あばら家。かやぶきの家。「茅屋」と同じ。
- 賞 … 愛でる。二家詩品本では「嘗」に作り、「嘗一本作賞是」との注がある。
坐中佳士、左右修竹。
坐中に佳士あり、左右に修竹あり。
- 坐中 … 座敷の中。あばら家の中。
- 佳士 … 品格のある隠者。「士」は、隠士。隠者。
- 左右 … あばら家の傍ら。
- 修竹 … 細長い竹。「脩竹」とも書く。
白雲初晴、幽鳥相逐。
白雲初めて晴れ、幽鳥相逐う。
- 白雲 … 無欲であっさりしていることを表す。
- 初晴 … 雨が上がって晴れた様子。
- 幽鳥 … 山奥の深い所に棲む鳥。
- 相逐 … 鳥同士が追いかけあっている様子。
眠琴綠陰、上有飛瀑。
琴を緑陰に眠らせば、上に飛瀑有り。
- 眠琴 … 琴を横にする。
- 緑陰 … 青葉の茂った木陰。
- 上 … 山の高い所。
- 飛瀑 … 高い所から落ちる滝。
落花無言、人淡如菊。
落花言無く、人淡きこと菊の如し。
- 落花 … 散り落ちる花。
- 無言 … 言葉もなく。音もなく。
- 人 … 隠者。佳士を指す。
- 淡 … 恬淡としていること。
- 菊 … 恬淡としていて、品格のあることの喩え。
書之歳華、其曰可讀。
之を歳華に書せば、其れ曰わん、読む可し、と。
- 之 … 典雅な境地。
- 歳華 … 歳時。よい時節。美しい時節。
- 書 … 詩に書くこと。
- 其曰 … 或いは言えるかもしれない。擬議の辞。
- 可読 … 味読する価値がある。「可」は、ここでは可能の意ではない。
一 雄渾 | 二 冲淡 |
三 繊穠 | 四 沈著 |
五 高古 | 六 典雅 |
七 洗煉 | 八 勁健 |
九 綺麗 | 十 自然 |
十一 含蓄 | 十二 豪放 |
十三 精神 | 十四 縝密 |
十五 疎野 | 十六 清奇 |
十七 委曲 | 十八 実境 |
十九 悲概 | 二十 形容 |
二十一 超詣 | 二十二 飄逸 |
二十三 曠達 | 二十四 流動 |