格物致知
格物致知
〔大学、経一章〕
欲誠其意者、先致其知。致知在格物。
欲誠其意者、先致其知。致知在格物。
其の意を誠にせんと欲する者は、先ず其の知を致す。知を致すは物に格るに在り。
- 欲誠其意者 … 自分の心に偽りを持たず、誠実な状態にしようとする者は。
- 先致其知 … それに先立って自分の知識を推し極める。
- 致知在格物 … 知識を推し極めるには、一つ一つの物事の道理を突き詰めることが大切である。
〔大学、伝五章補伝〕
所謂致知在格物者、言欲致吾之知、在即物而窮其理也。
所謂致知在格物者、言欲致吾之知、在即物而窮其理也。
所謂知を致すは物に格るに在りとは、吾れの知を致さんと欲せば、物に即いて其の理を窮むるに在るを言うなり。
- 欲致吾之知 … 自分自身の知識を推し極めようと思うならば。
- 在即物而窮其理 … 物事についてその道理を窮め尽くすことである。
〔伝習録、上〕
問格物。先生曰、格者正也。正其不正、以歸於正也。
問格物。先生曰、格者正也。正其不正、以歸於正也。
格物を問う。先生曰く、格とは正すなり。其の正しからざるを正して、以て正に帰するなり、と。
- 帰於正 … 本来の正しさに戻すこと。
〔伝習録、中〕
若鄙人所謂致知格物者、致吾心之良知於事事物物也。吾心之良知、卽所謂天理也。致吾心良知之天理於事事物物、則事事物物皆得其理矣。致吾心之良知者致知也。事事物物皆得其理者格物也。
若鄙人所謂致知格物者、致吾心之良知於事事物物也。吾心之良知、卽所謂天理也。致吾心良知之天理於事事物物、則事事物物皆得其理矣。致吾心之良知者致知也。事事物物皆得其理者格物也。
鄙人の所謂致知格物の若き者は、吾が心の良知を事事物物に致すなり。吾が心の良知は、即ち所謂天理なり。吾が心の良知の天理を事事物物に致せば、則ち事事物物は皆其の理を得るなり。吾が心の良知を致すは致知なり。事事物物皆其の理を得るは格物なり。
- 鄙人 … 本来は田舎の人の意。ここでは自分をへりくだっていう言葉。
- 良知 … 心の本体。万人が持っている行動の指針となる心の作用。
- 事事物物 … あらゆる物事。一つ一つの事物。
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