格物致知
格物致知
- 出典:『大学』経一章、『大学』伝五章補伝(ウィキソース「四書章句集註/大學章句」参照)、『伝習録』(ウィキソース「傳習錄」参照)
- 解釈:知識を推し極めて物事の道理を突き詰めること。物事の本質まで追究して知識を深くすること。『大学』の八条目(格物・致知・誠意・正心・修身・斉家・治国・平天下)の中の各々一つ。「格物(物に格る)」は、一つ一つの物事の道理を窮めること。「致知(知を致す)」は、知識を推し極めること。以上は、朱子の解釈。なお、王陽明は「格物」を「物を格す」と読み、日常のすべての行為について、誤りを正して先天的に持っている良知を磨き上げることとしている。「知を致すは物に格るに在り」とも。
〔大学、経一章〕
欲誠其意者、先致其知。致知在格物。
欲誠其意者、先致其知。致知在格物。
其の意を誠にせんと欲する者は、先ず其の知を致す。知を致すは物に格るに在り。
- 欲誠其意者 … 自分の心に偽りを持たず、誠実な状態にしようとする者は。
- 先致其知 … それに先立って自分の知識を推し極める。
- 致知在格物 … 知識を推し極めるには、一つ一つの物事の道理を突き詰めることが大切である。
〔大学、伝五章補伝〕
所謂致知在格物者、言欲致吾之知、在即物而窮其理也。
所謂致知在格物者、言欲致吾之知、在即物而窮其理也。
所謂知を致すは物に格るに在りとは、吾れの知を致さんと欲せば、物に即いて其の理を窮むるに在るを言うなり。
- 欲致吾之知 … 自分自身の知識を推し極めようと思うならば。
- 在即物而窮其理 … 物事についてその道理を窮め尽くすことである。
〔伝習録、巻上〕
問格物。先生曰、格者正也。正其不正、以歸於正也。
問格物。先生曰、格者正也。正其不正、以歸於正也。
格物を問う。先生曰く、格とは正すなり。其の正しからざるを正して、以て正に帰するなり、と。
- 帰於正 … 本来の正しさに戻すこと。
〔伝習録、巻中〕
若鄙人所謂致知格物者、致吾心之良知於事事物物也。吾心之良知、卽所謂天理也。致吾心良知之天理於事事物物、則事事物物皆得其理矣。致吾心之良知者致知也。事事物物皆得其理者格物也。
若鄙人所謂致知格物者、致吾心之良知於事事物物也。吾心之良知、卽所謂天理也。致吾心良知之天理於事事物物、則事事物物皆得其理矣。致吾心之良知者致知也。事事物物皆得其理者格物也。
鄙人の所謂致知格物の若き者は、吾が心の良知を事事物物に致すなり。吾が心の良知は、即ち所謂天理なり。吾が心の良知の天理を事事物物に致せば、則ち事事物物は皆其の理を得るなり。吾が心の良知を致すは致知なり。事事物物皆其の理を得るは格物なり。
- 鄙人 … 本来は田舎の人の意。ここでは自分をへりくだっていう言葉。
- 良知 … 心の本体。万人が持っている行動の指針となる心の作用。
- 事事物物 … あらゆる物事。一つ一つの事物。
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