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廣(こう)要道(ようどう)章第十二

〔広要道章第十五〕(古文)
子曰、教民親愛、莫善於孝。
子(し)曰(いわ)く、民(たみ)に親愛(しんあい)を教(おし)うるは、孝(こう)より善(よ)きは莫(な)し。
  • この章は、「開宗明義章第一」にある「要道」について詳しく述べている。
  • 広要道 … 要道を広むる。「要道」は、正しい道。孝道。「広」は、広める。明らかにする。
  • 古文では「広要道章第十五」に作る。
  • 教民親愛 … 人民に互いに親しみ、慈しむことを教えるには。
  • 親愛 … 親しみ、慈しむ。
  • 莫善於孝 … 孝道を実践してみせるのが最もよい。
  • 於 … 古文では「于」に作る。
教民禮順、莫善於悌。
民(たみ)に礼(れい)順(じゅん)を教(おし)うるは、悌(てい)より善(よ)きは莫(な)し。
  • 教民礼順 … 人民に礼儀正しく、素直であることを教えるには。
  • 礼順 … 礼を守り、素直であること。
  • 莫善於悌 … 兄に従って柔順であることを実践してみせるのが最もよい。
  • 悌 … 兄に仕えること。兄に従うこと。古文では「弟」に作る。
  • 於 … 古文では「于」に作る。
移風易俗、莫善於樂。
風(ふう)を移(うつ)し俗(ぞく)を易(か)うるは、楽(がく)より善(よ)きは莫(な)し。
  • 移風易俗 … 民衆の悪い風俗を善い方向へ移し改めること。「移易風俗」の互文。
  • 莫善於楽 … 人民に音楽を奨励するのが最もよい。
  • 楽 … 音楽。
安上治民、莫善於禮。
上(かみ)を安(やす)んじ民(たみ)を治(おさ)むるは、礼(れい)より善(よ)きは莫(な)し。
  • 安上治民 … 君主の地位を安定させ、人民をよく統治するには。
  • 莫善於礼 … 人民には礼儀を教えるのが最もよい。
禮者敬而已矣。
礼(れい)は敬(けい)のみ。
  • 礼者敬而已矣 … 礼儀とは、敬意ただこれだけだ。
  • 敬 … 敬意。尊敬する気持ち。
  • 而已矣 … 「のみ」と読む。強い断定の意を示す。「而已(のみ)」をさらに強調した言い方。「…だけだ」「他にはない、ただこれだけだ」の意。「而已焉」「而已耳」も同じ。
故敬其父則子悦、敬其兄則弟悦、敬其君則臣悦。
故(ゆえ)に其(そ)の父(ちち)を敬(けい)すれば則(すなわ)ち子(こ)悦(よろこ)び、其(そ)の兄(あに)を敬(けい)すれば則(すなわ)ち弟(おとうと)悦(よろこ)び、其(そ)の君(きみ)を敬(けい)すれば則(すなわ)ち臣(しん)悦(よろこ)ぶ。
  • 敬其父則子悦 … (上にある者が)その父を敬(うやま)えば、その子らは喜び従う。
  • 敬其兄則弟悦 … その兄を敬えば、その弟らは喜び従う。
  • 敬其君則臣悦 … 君主を敬えば、その臣下らは喜び従う。
敬一人而千萬人悦。
一人(いちにん)を敬(けい)して千万人(せんまんにん)悦(よろこ)ぶ。
  • 敬一人而千万人悦 … 一人を敬えば、多くの人々が感化され、喜び従うようになる。
  • 一人 … 敬(うやま)われる者。父・兄・君を指す。
  • 千万人 … 喜び従う者。子・弟・臣を指す。
所敬者寡、而悦者衆。
敬(けい)する所(ところ)の者(もの)は寡(すくな)くして、悦(よろこ)ぶ者(もの)は衆(おお)し。
  • 所敬者寡 … 敬(うやま)われる者は少ない。
  • 悦者衆 … 喜び従う者は多い。
此之謂要道也。
之(これ)を此(こ)れ要道(ようどう)と謂(い)うなり。
  • 此之謂要道也 … これを称して要道というのである。
  • 此之 … 古文では「之此」に作る。
  • 要道 … 正しい道。大切な道。肝要な道。
今文孝経
開宗明義章第一 天子章第二
諸侯章第三 卿大夫章第四
士章第五 庶人章第六
三才章第七 孝治章第八
聖治章第九 紀孝行章第十
五刑章第十一 広要道章第十二
広至徳章第十三 広揚名章第十四
諫争章第十五 応感章第十六
事君章第十七 喪親章第十八
閨門章第十九(古文のみ)