五刑章第十一
〔五刑章第十四〕(古文)
子曰、五刑之屬三千、而罪莫大於不孝。
子曰、五刑之屬三千、而罪莫大於不孝。
子曰く、五刑の属三千、罪不孝より大なるは莫し。
- この章は、刑罰の中でも不孝の罪ほど大きいものはなく、それが及ぼす影響について説いている。
- 五刑 … 墨(入れ墨の刑)・劓(鼻切りの刑)・剕(足切りの刑)・宮(去勢の刑)・大辟(死刑)の五種類の肉刑(身体の一部を傷つける刑罰)。ウィキペディア【五刑】参照。
- 古文では「五刑章第十四」に作る。
- 属三千 … 五刑を細かく分けると、三千項目に分かれている。「属」は、種類。『書経』周書・呂刑篇に「墨罰の属千、劓罰の属千、剕罰の属五百、宮罰の属三百、大辟の罰其の属二百、五刑の属三千」(墨罰之屬千、劓罰之屬千、剕罰之屬五百、宮罰之屬三百、大辟之罰其屬二百、五刑之屬三千)とある。ウィキソース「尚書/呂刑」参照。
- 罪莫大於不孝 … その中で罪として不孝の罪ほど大きいものはない。
- 不孝 … 子として親に十分に仕えないこと。親不孝。
- 罪 … 古文では「辜」に作る。
要君者無上、非聖人者無法、非孝者無親。
君を要する者は上を無し、聖人を非る者は法を無し、孝を非る者は親を無す。
- 要君者無上 … 君主に強要して自分の意志に従わせようとする者は、上を上とも思わぬ者である。「無」は、古文では「亡」に作る。
- 無 … 「なみする」と読む。蔑ろにする。無視する。
- 非聖人者無法 … 聖人を非難する者は、聖人が定めた礼法を蔑ろにする者である。「無」は、古文では「亡」に作る。
- 非孝者無親 … 孝道を非難する者は、親を無視する者である。「無」は、古文では「亡」に作る。
此大亂之道也。
此れ大乱の道なり。
- 此大乱之道也 … これがやがて大乱を招き寄せる原因となるのである。
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