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別董大(高適)

別董大董大とうだいわかる)
高適こうせき     
  • 七言絶句。曛・紛・君(平声文韻)。
  • 『全唐詩』巻214所収。ウィキソース「別董大二首 其一」参照。
  • 別董大 … 董大と別れる。董大は人名。董が姓、大は排行第一(一族中の同世代の最年長者)。琴の名手、董庭蘭と思われる。李頎りきの詩に「董大の胡笳こかを弾ずるを聴き、兼ねて語を寄せ、房給事にたわむる」(聽董大彈胡笳兼寄語弄房給事)(『唐詩三百首』七言古詩所収)というのがある。『全唐詩』では「別董大二首 其一」に作る。
  • 高適 … ?~765。盛唐の詩人。滄州渤海の人。あざなは達夫。『高常侍集』がある。ウィキペディア【高適】参照。
十里黄雲白日曛
じゅう黄雲こううん 白日はくじつくん
  • 十里 … 十里のかなたまで。ここでは「空一面に」の意。
  • 十 … 『唐詩別裁集』では「千」に作る。
  • 黄雲 … 黄色い雲。黄色がかった雲。黄塵を巻き上げた雲。
  • 白日 … 太陽。太陽の光。
  • 曛 … 太陽の光がぼんやりしていること。暗くかすむこと。たそがれ時の淡い光。「くらし」と読んでもよい。
北風吹雁雪紛紛
北風ほくふう かりいてゆき紛紛ふんぷん
  • 雁 … 底本では「鴈」に作る。同義。
  • 紛紛 … 盛んに入り乱れること。雪の降る形容。
莫愁前路無知己
うれうるかれ ぜん 知己ちききを
  • 莫愁 … 心配することはない。心配するな。
  • 莫 … 「~(こと)なかれ」と読み、「~してはいけない」「~するな」と訳す。禁止の意を表す。「勿」も同じ。
  • 前路 … これからの旅先。
  • 知己 … 自分を理解してくれる人。
  • 服部南郭『唐詩選国字解』には「莫愁なぐさむる辭なり、そこもとは、手前がやうな親しい友達にわかるれば、前路で知己なものがあるまいと、氣の毒に思し召すな」とある。『漢籍国字解全書』第10巻(国立国会図書館デジタルコレクション)参照。
天下誰人不識君
てん 誰人たれひときみらざらん
  • 誰人不識君 … 誰が君を知らないだろうか、いや誰だって君を知っている。
  • 誰人 … 「たれひとか~(せ)ん」と読み、「誰が~(するの)か、いや誰も~(し)ない」と訳す。反語を表す。
  • 服部南郭『唐詩選国字解』には「そこもとは器量すぐれた人なれば、ゆくさきで重じ、君を待受るであらう程に、愁ずに氣象にしてゆかれい」とある。『漢籍国字解全書』第10巻(国立国会図書館デジタルコレクション)参照。
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