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夜別韋司士(高適)

夜別韋司士
夜(よる)、韋(い)司士(しし)に別(わか)る
高(こう)適(せき)
  • 七言律詩。清・聲・行・城・迎(下平声庚韻)。
  • ウィキソース「夜別韋司士得城字」参照。
  • 韋 … 人名。人物については不詳。
  • 司士 … 官名。土木事業を管掌する地方官。
  • 夜別韋司士 … 『全唐詩』には、題下に「城(じょう)の字(じ)を得(え)たり」(得城字)とある。これは宴席において何人かで詩を作るとき、古い詩文の一句をとって、その句の一字ずつを皆に割り当て、その字を韻にして作詩するという。このとき、作者は「城」の字を割り当てられた。
  • 高適 … ?~765。盛唐の詩人。滄州渤海(山東省浜州市)の人。一説に渤海郡蓨(しゅう)県(河北省景県)の人。字(あざな)は達(たつ)夫(ふ)または仲武。天宝八載(749)、有道科(科挙の一科)に推挙され、受験して及第。汴(べん)州の封(ふう)丘(きゅう)(河南省封丘県)の尉となったが、後に辞任し、辺塞を遊歴した。晩年は刑部侍郎、左散騎常侍に至った。辺塞詩人として岑参とともに「高岑」と並び称され、王之渙・王昌齡・岑参と合わせて「辺塞四詩人」とも称される。『高常侍集』八巻がある。ウィキペディア【高適】参照。
高館張燈酒復清
高館(こうかん)灯(とう)を張(は)り 酒(さけ)復(ま)た清(きよ)し
  • 高館 … たかどの。高楼。
  • 張灯 … 灯火をあかあかと灯(とも)し連ねる。
  • 酒 … 酌み交わす酒。
夜鐘殘月雁歸聲
夜(や)鐘(しょう)残月(ざんげつ) 雁(かり)帰(かえ)る声(こえ)
  • 夜鐘 … 夜ふけの鐘の音。
  • 残月 … 明け方の空に残っている月。有明の月。残(のこ)んの月。
只言啼鳥堪求侶
只(た)だ言(い)う 啼(てい)鳥(ちょう)の侶(とも)を求(もと)むるに堪(た)えたりと
  • 只言 … ~とばかり思っていたのに。
  • 侶 … なかま。
  • 啼鳥堪求侶 … 『詩経』小雅・伐木に「木を伐ること丁丁(とうとう)たり、鳥鳴くこと嚶嚶(おうおう)たり。幽谷より出でて、喬木に遷る。嚶として其れ鳴くは、其の友を求むる声」(伐木丁丁、鳥鳴嚶嚶。出自幽谷、遷于喬木。嚶其鳴矣、求其友聲)とあるのに基づく。ウィキソース「詩經/伐木」参照。
無那春風欲送行
那(いか)んともする無(な)し 春(しゅん)風(ぷう)の行(こう)を送(おく)らんと欲(ほっ)するを
  • 無那 … どうしようもない。
  • 送行 … 門出を見送る。
黄河曲裏沙爲岸
黄(こう)河(が)曲(きょく)裏(り) 沙(すな)を岸(きし)と為(な)し
  • 黄河曲裏 … 黄河の屈曲する所。どの辺りかは不明。
白馬津邊柳向城
白(はく)馬(ば)津辺(しんぺん) 柳(やなぎ)は城(しろ)に向(むか)う
  • 白馬津 … 渡し場の名。今の河南省滑(かつ)県の辺りにあったらしい。
莫怨他郷暫離別
怨(うら)む莫(な)かれ 他(た)郷(きょう) 暫(しば)らく離(り)別(べつ)するを
  • 他郷 … 自分の故郷でない土地。異郷。
知君到處有逢迎
知(し)る 君(きみ)が到(いた)る処(ところ) 逢迎(ほうげい)有(あ)らん
  • 逢迎 … 人が手厚く歓迎してくれること。
テキスト
  • 『箋註唐詩選』巻五(『漢文大系 第二巻』、冨山房、1910年)※底本
  • 『全唐詩』巻二百十四(排印本、中華書局、1960年)
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