夜別韋司士(高適)
夜別韋司士
夜、韋司士に別る
夜、韋司士に別る
- 〔テキスト〕 『唐詩選』巻五、『全唐詩』巻二百十四、他
- 七言律詩。清・聲・行・城・迎(平声庚韻)。
- ウィキソース「夜別韋司士得城字」参照。
- 韋 … 人名。人物については不明。
- 司士 … 官名。土木事業を管掌する地方官。
- 夜別韋司士 … 『全唐詩』には、この題の下に「城の字を得たり」(得城字)とある。これは宴席において何人かで詩を作るとき、古い詩文の一句をとって、その句の一字ずつを皆に割り当て、その字を韻にして作詩するという。このとき、作者は「城」の字を割り当てられた。
- 高適 … ?~765。盛唐の詩人。滄州渤海(山東省)の人。字は達夫または仲武。天宝八載(749)、有道科に推挙され、受験して及第。封丘(河南省封丘県)の尉に任ぜられたが辞任し、辺塞を遊歴した。晩年は刑部侍郎、左散騎常侍に至った。辺塞詩人として岑参とともに「高岑」と並び称される。『高常侍集』八巻がある。ウィキペディア【高適】参照。
高館張燈酒復清
高館灯を張り 酒復た清し
- 高館 … たかどの。高楼。
- 張灯 … 灯火をあかあかと灯し連ねる。
- 酒 … 酌み交わす酒。
夜鐘殘月雁歸聲
夜鐘残月 雁帰る声
- 夜鐘 … 夜ふけの鐘の音。
- 残月 … 明け方の空に残っている月。有明の月。残んの月。
只言啼鳥堪求侶
只だ言う 啼鳥の侶を求むるに堪えたりと
- 只言 … ~とばかり思っていたのに。
- 侶 … なかま。
- 啼鳥堪求侶 … 『詩経』小雅・伐木の詩に「木を伐ること丁丁たり、鳥鳴くこと嚶嚶たり。幽谷より出でて、喬木に遷る。嚶として其れ鳴くは、其の友を求むる声」(伐木丁丁、鳥鳴嚶嚶。出自幽谷、遷于喬木。嚶其鳴矣、求其友聲)とあるのに基づく。ウィキソース「詩經/伐木」参照。
無那春風欲送行
那んともする無し 春風の行を送らんと欲するを
- 無那 … どうしようもない。
- 送行 … 門出を見送る。
黄河曲裏沙爲岸
黄河曲裏 沙を岸と為し
- 黄河曲裏 … 黄河の屈曲するところ。どの辺りかは不明。
白馬津邊柳向城
白馬津辺 柳は城に向う
- 白馬津 … 渡し場の名。今の河南省滑県の辺りにあったらしい。
莫怨他郷暫離別
怨む莫かれ 他郷 暫らく離別するを
- 他郷 … 自分の故郷でない土地。異郷。
知君到處有逢迎
知る 君が到る処 逢迎有らん
- 逢迎 … 人が手厚く歓迎してくれること。
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