人日寄杜二拾遺(高適)
人日寄杜二拾遺
人日 杜二拾遺に寄す
人日 杜二拾遺に寄す
- 〔テキスト〕 『唐詩選』巻二、『全唐詩』巻二百十三、他
- 七言古詩。堂・郷・腸(平声陽韻)、預・慮・處(去声御韻)、春・塵・人(平声真韻)。
- ウィキソース「人日寄杜二拾遺」参照。
- 人日 … 陰暦正月七日。
- 杜二 … 杜甫。「二」は排行。
- 拾遺 … 官名。天子の過ちを諫める役。
- 高適 … ?~765。盛唐の詩人。滄州渤海(山東省)の人。字は達夫または仲武。天宝八載(749)、有道科に推挙され、受験して及第。封丘(河南省封丘県)の尉に任ぜられたが辞任し、辺塞を遊歴した。晩年は刑部侍郎、左散騎常侍に至った。辺塞詩人として岑参とともに「高岑」と並び称される。『高常侍集』八巻がある。ウィキペディア【高適】参照。
人日題詩寄草堂
人日 詩を題して草堂に寄す
- 草堂 … 杜甫が住していた成都の浣花草堂を指す。
遙憐故人思故郷
遥かに憐れむ 故人の故郷を思うを
- 故人 … 古くからの友人。杜甫を指す。
柳條弄色不忍見
柳条 色を弄して見るに忍びず
- 柳条 … 柳の枝。
- 弄色 … ここでは柳の枝が新芽を見せ始めていること。
梅花滿枝空斷腸
梅花 枝に満ちて空しく断腸
- 空 … 『全唐詩』には「一作堪」とある。
- 断腸 … 非常に悲しい様子。腸がちぎれるほどの悲痛な思い。
身在南蕃無所預
身は南蕃に在りて預る所無く
- 南蕃 … 南方の異民族の地。『全唐詩』では「遠藩」に作り、「一作南蕃」とある。
- 無所預 … 中央の政治に関与しない。
心懷百憂復千慮
心に懐く 百憂復た千慮
- 百憂 … いろいろな種類の多くの心配。
- 千慮 … 深くいろいろと考えること。
今年人日空相憶
今年人日 空しく相憶う
明年人日知何處
明年人日 知んぬ何れの処ぞ
- 人 … 『全唐詩』には「一作此」とある。
- 知何処 … どこにいることやら、わからない。「知」は下に疑問の言葉が来るので「知らず」の意となる。
一臥東山三十春
一たび東山に臥して三十春
- 一臥東山 … 晋の謝安が会稽の東山に隠棲して悠々自適の生活を送ったという故事による。
- 三十春 … 三十年。
豈知書劍老風塵
豈に知らんや 書剣 風塵に老いんとは
- 書剣 … 書物と剣。転じて、学問と武芸。
- 風塵 … 俗事。
龍鐘還忝二千石
竜鐘還た忝うす 二千石
- 竜鐘 … 老いさらばえたさまの形容。
- 忝 … 過分な地位や禄高を受けていること。
- 二千石 … 漢代、地方長官の禄高。後世では刺史・太守・知県などの地方長官を呼ぶようになった。
愧爾東西南北人
愧ず 爾 東西南北の人
- 愧爾 … 君に対して恥ずかしい。
- 東西南北人 … 一定の住居を持たず、自由に各地を放浪する人。『礼記』檀弓上篇にみえる孔子の言葉、「今丘や、東西南北の人なり(今丘也、東西南北之人也)」に基づく。
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