送杜十四之江南(孟浩然)
送杜十四之江南
杜十四の江南に之くを送る
杜十四の江南に之くを送る
- 〔テキスト〕 『唐詩選』巻七、『全唐詩』巻一百六十、『孟浩然詩集』巻中(宋蜀刻本唐人集叢刊、略称:宋本)、『孟浩然集』巻四(『四部叢刊 初編集部』所収)、『孟浩然集』巻四(『四部備要 集部』所収、略称:四部備要本)、『孟浩然集』巻三(『唐五十家詩集』所収)、『孟浩然詩集』(元文四年刊、『和刻本漢詩集成 唐詩1』所収、155頁、略称:元文刊本)、『孟浩然詩集』巻中(元禄三年刊、『和刻本漢詩集成 唐詩1』所収、180頁、略称:元禄刊本)、『文苑英華』巻二百六十八、『唐詩品彙』巻四十八、『唐詩別裁集』巻十九、『唐人万首絶句選』巻三、他
- 七言絶句。郷・茫・腸(平声陽韻)。
- ウィキソース「送杜十四之江南」「孟浩然集 (四部叢刊本)/卷第四」参照。
- 詩題 … 『宋本』『四部叢刊本』『四部備要本』『文苑英華』では「送杜十四」に作る。『全唐詩』には、題下に「一無題下三字、一題作送杜晃進士之東呉」とある。
- 杜十四 … 詩題が「杜晃進士の東呉に之くを送る」に作るテキストもあることから、「杜十四」は進士で、姓は杜、名は晃、排行十四であることがわかる。
- 孟浩然 … 689~740。盛唐の詩人。襄陽(湖北省)の人。名は浩、浩然は字。若い頃、科挙に及第できず、諸国を放浪した末、郷里の鹿門山に隠棲した。四十歳のとき、都に出て張九齢や王維らと親交を結んだが、仕官はできなかった。その後、張九齢が荊州(湖北省)の長史(地方長官の属官)に左遷されたとき、招かれて従事(輔佐官)となったが、まもなく辞任し、江南を放浪した末、郷里に帰ってまた隠棲生活に入り、一生を終えた。多く自然を歌い、王維と並び称される。「春眠暁を覚えず」で始まる「春暁」が最も有名。『孟浩然集』四巻がある。ウィキペディア【孟浩然】参照。
荊呉相接水爲郷
荊呉相接して水を郷と為すも
- 荊 … 楚の国。今の湖北省の地方。
- 呉 … 江南の地。今の江蘇省の地方。杜十四が向かうところ。『宋本』では「吴」に作る。異体字。
- 相接 … 陸続きになっている。
- 相 … 『宋本』では「日」に作る。
- 水為郷 … 水郷地帯をなしている。
- 爲 … 『宋本』では「鳥」に作る。『全唐詩』には「一作連」とある。『文苑英華』では「連」に作り、「絶句詩選作為」とある。『唐人万首絶句選』では「為」に作る。
君去春江正淼茫
君去って春江正に淼茫たり
- 春江 … 春の長江。『全唐詩』『文苑英華』には「一作江村」とある。
- 淼茫 … 水がひろびろと広がったさま。
- 淼 … 『宋本』『四部叢刊本』『四部備要本』『元文刊本』では「渺」に作る。同義。
日暮孤舟何處泊
日暮 孤舟 何れの処にか泊する
- 日暮 … 夕暮れ。
- 孤舟 … ひとり進む君の舟。『宋本』『全唐詩』『四部叢刊本』『四部備要本』『唐五十家詩集本』『元文刊本』『元禄刊本』『文苑英華』では「征帆」に作る。『唐詩別裁集』では「孤帆」に作る。
- 何處泊 … どの辺りに泊まるのだろう。『全唐詩』には「一作泊何處」とある。『宋本』『四部叢刊本』『四部備要本』『文苑英華』『唐詩別裁集』『唐人万首絶句選』では「泊何處」に作る。
天涯一望斷人腸
天涯一望 人の腸を断つ
- 天涯 … 天の果て。空の果て。非常に遠い所。涯は、かぎり。地の果て。『論衡』率性篇に「人間の水は汚濁なるも、野外に在る者は清潔なり。倶に一水たり、源は天涯よりするも、或いは濁り或いは清むは、在る所の勢い、之をして然らしむるなり」(人閒之水汚濁、在野外者淸潔。倶爲一水、源從天涯、或濁或淸、所在之勢、使之然也)とある。ウィキソース「論衡/08」参照。
- 一望 … 眺めやれば。
- 断人腸 … 悲しみに腸がちぎれんばかりだ。
- 腸 … 『唐五十家詩集本』『元禄刊本』では「膓」に作る。異体字。
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