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送李少府貶峽中王少府貶長沙(高適)

送李少府貶峡中王少府貶長沙
しょう峡中きょうちゅうへんせられ、おうしょうちょうへんせらるるをおく
こうせき
  • 〔テキスト〕 『唐詩選』巻五、『唐詩三百首』七言律詩、『全唐詩』巻二百十四、他
  • 七言律詩。如・居・書・疎・躇(平声魚韻)。
  • ウィキソース「送李少府貶峽中王少府貶長沙」参照。
  • 少府 … 官名。県の尉(検察・警察を指揮する職)の雅名。
  • 貶 … 官位をおとされて地方に流されること。「謫」の方が遠方の度合いが強い。
  • 峡中 … 今の三峡地方。
  • 長沙 … 今の湖南省長沙市。湖南省の省都。洞庭湖の南方、湘江下流の東岸に位置する。隋唐代から元代までは潭州とも呼ばれた。前漢の賈誼かぎが流されたところとしても有名。『読史方輿紀要』歴代州域形勢、唐上、潭州の条に「漢、長沙国と曰う。隋、潭州と曰う。唐、之に因る。亦た長沙郡と曰う」(漢曰長沙國。隋曰潭州。唐因之。亦曰長沙郡)とある。ウィキソース「讀史方輿紀要/卷五」参照。ウィキペディア【長沙市】参照。『中国歴史地図集 第五冊』(地図出版社、1982年、国学导航「元和方镇图:潭州」38~39頁④4、「江南西道:潭州」57~58頁④5)参照。
  • 高適 … 盛唐の詩人。あざなは達夫または仲武。天宝八載(749)、有道科に推挙され、受験して及第。封丘(河南省封丘県)の尉に任ぜられたが辞任し、辺塞を遊歴した。晩年は刑部侍郎、左散騎常侍に至った。辺塞詩人として岑参とともに「高岑」と並び称される。『高常侍集』八巻がある。ウィキペディア【高適】参照。
嗟君此別意何如
ああ きみ わかれ 何如いかん
  • 嗟 … 感嘆詞。ああ。
  • 意何如 … 胸のうちの悲しみは、いかばかりであろうか。
駐馬銜杯問謫居
うまとどさかずきふくんで謫居たっきょ
  • 駐馬 … 両少府の馬を引きとめる。
  • 銜杯 … 別れの杯を口にあてる。
  • 謫居 … 罪をおかし、遠方へ流された場所。配所。
巫峽啼猿數行涙
きょう啼猿ていえん 数行すうこうなみだ
  • 巫峡 … 四川省巫山県の東にある峡谷。三峡の険の一つ。
  • 啼猿 … 猿声。
  • 数行涙 … 幾すじもの涙。
衡陽歸雁幾封書
衡陽こうようがん 幾封いくふうしょ
  • 衡陽帰雁 … 衡陽は湖南省南部の町。長沙から約二百キロほど南にある。その北にある衡山には回雁峰という峰があり、北から渡ってきた雁はここから南へは飛ばずに引き返すといわれた。
  • 幾封書 … 何通の手紙。
青楓江上秋天遠
青楓江せいふうこうじょう しゅうてんとお
  • 青楓江 … 長沙の近くを流れる川の名。位置は不明。
  • 秋天 … 秋の空。
白帝城邊古木疎
白帝はくていじょうへん ぼくまばらなり
  • 白帝城 … 今の四川省奉節県の東にある城。ウィキペディア【白帝城】参照。
聖代即今多雨露
聖代せいだい 即今そっこん 雨露うろおお
  • 聖代 … りっぱな天子が治める御世。
  • 即 … 『全唐詩』には「一作祗」とある。
  • 即今 … ただいま。現在。
  • 雨露 … 天子の恵みをたとえる。
暫時分手莫躊躇
ざんわかつ ちゅうちょするかれ
  • 暫時 … しばらくの間。
  • 分手 … 別れること。
  • 躊躇 … 去りかねてためらうこと。
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