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邯鄲少年行(高適)

邯鄲少年行
邯鄲かんたんしょうねんこう
高適こうせき
  • 〔テキスト〕 『唐詩選』巻二、『全唐詩』巻二百十三、『高常侍集』巻五(『四部叢刊 初編集部』所収)、『高常侍集』巻上(『前唐十二家詩』所収)、『高常侍集』巻五(『唐五十家詩集』所収)、『文苑英華』巻一百九十四、『唐詩品彙』巻二十九、『唐詩別裁集』巻五、他
  • 七言古詩。子・裏・死(上声紙韻)、紛・君(平声文韻)、薄・索(入声薬韻)、遊・求・頭(平声尤韻)。
  • ウィキソース「邯鄲少年行 (高適)」「高常侍集 (四部叢刊本)/卷第五」参照。
  • 邯鄲少年行 … 邯鄲は、現在の河北省邯鄲市。戦国時代、趙の都。少年行は、楽府題のひとつ。若者の歌。行は、歌・曲の意。『楽府古題要解』巻下、結客少年の条に「生を軽んじ義を重んじ、慷慨以て功名を立つるを言うなり」(言輕生重義、慷慨以立功名也)とある。ウィキソース「樂府古題要解」参照。『文苑英華』では「少年行」に作り、「一作邯鄲少年行」とある。
  • 高適 … ?~765。盛唐の詩人。滄州渤海(山東省)の人。あざなは達夫または仲武。天宝八載(749)、有道科に推挙され、受験して及第。封丘(河南省封丘県)の尉に任ぜられたが辞任し、辺塞を遊歴した。晩年は刑部侍郎、左散騎常侍に至った。辺塞詩人として岑参とともに「高岑」と並び称される。『高常侍集』八巻がある。ウィキペディア【高適】参照。
邯鄲城南游俠子
邯鄲かんたん城南じょうなん 游俠ゆうきょう
  • 南 … 『全唐詩』には「一作西」とある。
  • 游俠子 … 男伊達だての若者。
自矜生長邯鄲裏
みずかほこる 邯鄲かんたんうち生長せいちょうすと
  • 矜 … 自慢する。『全唐詩』には「一作言」とある。
千場縱博家仍富
千場せんじょう はくほしいままにしていえ
  • 千場 … ばくちの場数の多いこと。
  • 博 … ばくち。
  • 仍 … それでもなお。
幾處報讎身不死
幾処いくしょあだほうじてせず
  • 処 … 『全唐詩』では「度」に作る。
  • 報讎 … かたきを討つ。
宅中歌笑日紛紛
宅中たくちゅう歌笑かしょう 紛紛ふんぷん
  • 宅中 … 若者の屋敷。
  • 歌笑 … 宴会の歌声や笑い声。
  • 笑 … 『文苑英華』では「舞」に作る。
  • 紛紛 … 入り乱れてにぎやかな様子。
門外車馬如雲屯
門外もんがいしゃ くもたむろするがごとし
  • 如雲屯 … 雲がたむろするように多く集まること。『全唐詩』では「常(一作矗)如雲(一作如雲屯)」に作る。
未知肝膽向誰是
いまらず 肝胆かんたんたれむかってかなる
  • 未知 … まだわからない。
  • 肝胆 … 本心。
令人卻憶平原君
ひとをしてかえって平原君へいげんくんおもわしむ
  • 人 … 『全唐詩』には「一作此」とある。
  • 平原君 … 戦国時代の四君のひとり。趙の武霊王の子。名は勝。平原は号。食客は常に数千人に達したという。ウィキペディア【平原君】参照。
君不見今人交態薄
きみずや 今人きんじん交態こうたいうすきを
  • 君不見 … 見たまえ。ここの「君」は特定の人物を指さない。
  • 今人 … 今の世の人。
  • 交態 … つきあい方。
黄金用盡還疎索
黄金おうごんもちくせば疎索そさく
  • 疎索 … よそよそしいさま。語頭子音〔s〕が同じ双声語。
以茲感歎辭舊遊
ここもっ感歎かんたんして旧遊きゅうゆう
  • 以茲 … そこで。
  • 歎 … 『全唐詩』には「一作激」とある。
  • 旧遊 … これまでの交友。
更於時事無所求
さら時事じじいてもとむるところ
  • 時事 … 世間のこと。
且與少年飮美酒
しばらしょうねんしゅ
  • 且 … まあしばらく。
往來射獵西山頭
往来おうらい射猟しゃりょうせん 西山せいざんほとり
  • 往来 … 行き来すること。
  • 射猟 … 狩猟。
  • 西山 … 肝膽の町の西方の山。
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