始めは処女の如く、後は脱兎の如し

始（はじ）めは処女（しょじょ）の如（ごと）く、後（のち）は脱（だっ）兎（と）の如（ごと）し

出典：『孫子』九地（ウィキソース「孫子兵法」参照）
解釈：最初は処女のように弱々しく従順に見せかけて敵を油断させ、後には兎（うさぎ）が罠から逃げ出すようにすばやく行動力を発揮すること。最初はのろのろしているが、後から勢いが増すことの喩え。脱（だっ）兎（と）の勢い。

孫子 … 兵法書。十三編。春秋時代末期の孫（そん）武（ぶ）著。成立年代は不詳。各編は（始）計・作戦・謀攻・（軍）形・（兵）勢・虚実・軍争・九変・行軍・地形・九地・火攻・用間からなる。兵法書の中では最も著名であり、我が国でも林羅山・荻生徂徠・新井白石・佐藤一斎・吉田松陰らによる注釈書がある。武（ぶ）経（けい）七書（しちしょ）の一つ。ウィキペディア【孫子 (書物)】参照。

敵人開闔、必亟入之、先其所愛、微與之期、踐墨隨敵、以決戰事。

敵人（てきじん）開闔（かいこう）すれば、必（かなら）ず亟（すみや）かに之（これ）に入（い）り、其（そ）の愛（あい）する所（ところ）を先（さき）にして、微（ひそ）かに之（これ）と期（き）し、践墨（せんぼく）して敵（てき）に随（したが）い、以（もっ）て戦（せん）事（じ）を決（けっ）す。

是故始如處女、敵人開戸、後如脱兎、敵不及拒。

是（こ）の故（ゆえ）に始（はじ）めは処女（しょじょ）の如（ごと）く、敵人（てきじん）戸（こ）を開（ひら）き、後（のち）には脱（だっ）兎（と）の如（ごと）くにして、敵（てき）拒（ふせ）ぐに及（およ）ばず。

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