合従連衡
合従連衡
- 出典:『戦国策』秦(ウィキソース「戰國策 (鮑彪注, 四庫全書本)/卷03」参照)
- 解釈:時々の利害に応じ、力をあわせて強敵にあたるためのかけひきや結びつきのこと。「合従」は「合縦」に同じ。「従」は縦の意で、南北を合わせること。「連衡」は「連横」に同じ。「衡」は横の意で、東西を連ねること。
- 戦国策 … 漢の劉向(前77~前6)の編。戦国時代の各国の出来事や、諸国を遊説した縦横家(ショウオウカとも)の策謀を国別に集めたもの。テキストには姚氏三十三巻本と鮑氏十巻本との二種類がある。ウィキペディア【戦国策】参照。
〔惠文君、蘇秦始將連横〕
蘇秦始將連横、説秦惠王曰、大王之國、西有巴蜀漢中之利、北有胡貉代馬之用、南有巫山黔中之限、東有殽函之固、田肥美、民殷富、戰車萬乘、奮撃百萬、沃野千里、蓄積饒多、地勢形便。此所謂天府、天下之雄國也。以大王之賢、士民之衆、車騎之用、兵法之教、可以并諸侯、吞天下、稱帝而治。願大王少留意。臣請奏其効。
蘇秦始將連横、説秦惠王曰、大王之國、西有巴蜀漢中之利、北有胡貉代馬之用、南有巫山黔中之限、東有殽函之固、田肥美、民殷富、戰車萬乘、奮撃百萬、沃野千里、蓄積饒多、地勢形便。此所謂天府、天下之雄國也。以大王之賢、士民之衆、車騎之用、兵法之教、可以并諸侯、吞天下、稱帝而治。願大王少留意。臣請奏其効。
蘇秦始め将に連横せんとし、秦の恵王に説きて曰く、大王の国は、西に巴・蜀・漢中の利有り、北に胡貉・代馬の用有り、南に巫山・黔中の限り有り、東に殽・函の固め有り、田は肥美に、民は殷富に、戦車万乗、奮撃百万、沃野千里、蓄積饒多にして、地勢形便なり。此れ所謂天府にして、天下の雄国なり。大王の賢、士民の衆、車騎の用、兵法の教えを以てせば、以て諸侯を并せ、天下を吞み、帝と称して治む可し。願わくは大王少しく意を留めよ。臣請う其の効を奏せん。と。
- 蘇秦 … ?~前317。戦国時代の政治家。字は季子。合従策を唱えた。ウィキペディア【蘇秦】参照。
- 連横 … 連衡に同じ。
- 巴蜀漢中 … 巴は今の四川省重慶を中心とした地方。蜀は今の四川省成都県を中心とした地方。漢中は今の陝西省南部、湖北省北西部の地。
- 胡貉代馬 … 胡貉は北方の異民族。貉は東北の族。代馬は北方地方で産する馬。
- 巫山 … 山名。四川省巫山県の東南にある。
- 黔中 … 秦の置いた郡名。
- 殽函 … 殽は殽山。函は函谷関。
- 殷富 … さかえて豊かなこと。
- 奮撃 … 力を奮って敵を攻撃する。
- 沃野 … 地味が肥えていて作物のよく実る広い土地。
- 蓄積 … たくわえたもの。「チクシ」と読む。
- 饒多 … 豊かで多い。
- 形便 … 地形が利便であること。
- 天府 … 自然の府庫。天然の要害で、地味が肥沃、産物の豊かな土地のこと。
- 雄国 … 強国。
- 并 … 併合する。
- 効 … 効験。効能。
- 奏 … 言上すること。
〔昭襄王、張儀説秦王曰〕
(張儀)説秦王曰、臣聞之、弗知而言爲不智、知而不言爲不忠、爲人臣不忠當死、言不審亦當死。雖然、臣願悉言所聞。大王裁其罪。臣聞、天下陰燕陽魏、連荊固齊、收餘韓成從、將西面以與秦爲難。臣竊笑之。世有三亡、而天下得之、其此之謂乎。
(張儀)説秦王曰、臣聞之、弗知而言爲不智、知而不言爲不忠、爲人臣不忠當死、言不審亦當死。雖然、臣願悉言所聞。大王裁其罪。臣聞、天下陰燕陽魏、連荊固齊、收餘韓成從、將西面以與秦爲難。臣竊笑之。世有三亡、而天下得之、其此之謂乎。
(張儀)、秦王に説きて曰く、臣聞く、知らずして言うを不智と為し、知って言わざるを不忠と為す、人臣と為って不忠なるは当に死すべく、言って不審なるも亦た当に死すべし。然りと雖も、臣願わくは悉く聞く所を言わん。大王其の罪を裁せよ。臣聞く、天下燕を陰とし魏を陽とし、荊を連ね斉を固くし、余韓を収めて、従を成し、将に西面して以て秦と難を為さんとす、と。臣窃かに之を笑う。世に三亡有り、而して天下之を得たりとは、其れ此を之れ謂うか。
- 張儀 … ?~前309。戦国時代の政治家。連衡策を唱えた。ウィキペディア【張儀】参照。
- 陰燕陽魏 … 陰は北。陽は南。趙を謀主とする。
- 荊 … 楚の国。
- 従 … 合従。南北連合。
- 難 … つらい戦争。
こちらもオススメ!
あ行 | か行 | さ行 |
た行 | な行 | は行 |
ま行 | や行 | ら行・わ |
論語の名言名句 |