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虢州後亭送李判官使赴晋絳得秋字(岑参)

虢州後亭送李判官使赴晉絳得秋字
虢州かくしゅう後亭こうていにて判官はんがん使つかいしてしんこうおもむくをおくる。しゅうたり
岑參しんじん
  • 〔テキスト〕 『唐詩選』巻七、『全唐詩』巻二百一、『岑嘉州詩』巻七(『四部叢刊 初篇集部』所収)、『岑嘉州集』巻下(『前唐十二家詩』所収)、『岑嘉州集』巻八(『唐五十家詩集』所収)、『岑嘉州詩』巻八・寛保元年刊(『和刻本漢詩集成 唐詩5』所収、166頁、略称:寛保刊本)、『唐詩品彙』巻四十八、趙宦光校訂/黄習遠補訂『万首唐人絶句』巻十二(万暦三十五年刊、内閣文庫蔵)、『唐詩別裁集』巻十九、『唐人万首絶句選』巻三、他
  • 七言絶句。頭・休・秋(平声尤韻)。
  • ウィキソース「虢州後亭送李判官使赴晉絳」参照。
  • 詩題 … 『唐人万首絶句選』では「送人」に作る。『唐詩別裁集』では「虢州後亭送李判官」に作る。
  • 虢州 … 今の河南省三門峡市一帯。隋の開皇三年(583)、東義州を改めて置いた。治所は盧氏県(今の河南省盧氏県)。大業三年(607)に廃し、唐の武徳元年(618)に再び置いた。貞観八年(634)、弘農県(今河南省霊宝市)に移して治めた。『読史方輿紀要』歴代州域形勢、唐上、虢州の条に「漢は弘農郡と曰い、唐に虢州を置く、亦た弘農郡と曰い、弘農等県六を領す。今の陝州霊宝県の西南三十里、もとの弘農城は是なり」(漢曰弘農郡、唐置虢州、亦曰弘農郡、領弘農等縣六。今陝州靈寶縣西南三十里故弘農城是)とある。ウィキソース「讀史方輿紀要/卷五」参照。ウィキペディア【虢州】参照。
  • 後亭 … 州の庁舎の裏にある庭園のあずまや。
  • 李 … 李某。人物については不明。
  • 判官 … 官名。節度使・観察使などの属官。長官を補佐する職。
  • 晋 … 晋州。現在の山西省臨汾県。ウィキペディア【晋州】参照。
  • 絳 … 絳州。現在の山西省新絳県。ウィキペディア【絳州】参照。
  • 得秋字 … 複数の人が集まって漢詩を作るとき、あらかじめ異なる脚韻の字を各自に分配して詩を作ること。これを分韻という。このとき作者は秋の字が当たった。『四部叢刊本』『前唐十二家詩本』『唐五十家詩集本』にはこの字なし。
  • この詩は、李判官が使者として晋州と絳州へ出張することとなり、作者たちが虢州の役所の後亭で送別の宴を開いたときに詠んだもの。乾元二年(759)から宝応元年(762)の間、作者が虢州長史の時の作。
  • 岑参 … 715~770。盛唐の詩人。湖北省江陵の人。天宝三載(744)、進士に及第。西域の節度使の幕僚として長く辺境に勤務したのち、けつかく州長史(次官)・嘉州刺史などを歴任した。辺塞詩人として高適こうせきとともに「高岑」と並び称される。『岑嘉州集』七巻がある。ウィキペディア【岑参】参照。
西原驛路掛城頭
西原せいげんえき じょうとうかか
  • 西原 … 西の原野。虢州から晋州・絳州へ向かう途中の地。
  • 駅路 … 駅亭間をつなぐ街道。駅亭は宿駅のこと。旅人を泊めたり、荷物を運ぶ馬や人夫などの交換をする所。うまやじ。『宋書』りゅうべん伝に「しん以為おもえらく、えんじょうぞくえきじゅようす、しばらばんけんせっす、すうひゃくうちりょうつつみてひそかにすすむ」(臣又以爲、郾城是賊、驛路要戍、且經蠻接嶮、數百里中、裹糧潛進)とある。ウィキソース「宋書/卷86」参照。
  • 掛城頭 … 城壁の上にかかっているようだ。虢州から西の方は地形が次第に高くなっているので、こう表現した。
  • 掛 … 『全唐詩』『四部叢刊本』『万首唐人絶句』『唐詩別裁集』『唐人万首絶句選』では「挂」に作る。同義。
客散江亭雨未休
かくさんじて 江亭こうてい あめいままず
  • 客散 … 送別の宴が終わり、人々が帰ったあとも。
  • 江亭 … 川に臨んだあずまや。後亭を指す。
  • 江 … 『全唐詩』『四部叢刊本』『前唐十二家詩本』『唐五十家詩集本』『寛保刊本』では「紅」に作る。
  • 雨未休 … 江亭に降るそそぐ雨は、まだやまない。
  • 休 … 『全唐詩』『前唐十二家詩本』『万首唐人絶句』『唐五十家詩集本』『寛保刊本』では「收」に作る。
君去試看汾水上
きみってこころみによ 汾水ふんすいほとり
  • 君去 … 君は向こうに着いたら。
  • 試看 … ためしに見てみたまえ。
  • 汾水 … 山西省にある川。寧武県に源流を発し、西南に流れて黄河に入る。汾河ともいう。『水経注』汾水の条に「汾水ふんすい太原たいげん汾陽県ふんようけんきた管涔山かんしんざんず」(汾水出太原汾陽縣北管涔山)とある。ウィキソース「水經注/06」参照。かつて漢の武帝がここに屋形船を浮かべて、群臣たちと酒宴を催し、上機嫌となって「秋風の辞」を詠んだと伝えられる。ウィキペディア【汾河】参照。
  • 上 … ほとり。辺り。『論語』子罕篇に「かわほとりりていわく、ものくのごときか、ちゅうかず」(子在川上曰、逝者如斯夫、不舍晝夜)とある。
白雲猶似漢時秋
白雲はくうんかんあき
  • 白雲猶似漢時秋 … 白雲は今もなお、漢代の秋と変わることなく、風に流れていることだろう。漢の武帝の「秋風の辞」に「しゅうふうおこりて 白雲はくうんぶ」(秋風起兮白雲飛)とあるのを踏まえる。
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