似て非なるもの
似て非なるもの
- 出典:『孟子』尽心下(ウィキソース「孟子/盡心下」参照)
- 解釈:外見は似ているが、内実はまったく違うもの。
- 孟子 … 七編。戦国時代の思想家、孟子(前372?~前289)の言行や思想を弟子たちがまとめた書。四書の一つ。ウィキペディア【孟子 (書物)】参照。
孔子曰、惡似而非者。惡莠、恐其亂苗也。惡佞、恐其亂義也。惡利口、恐其亂信也。惡鄭聲、恐其亂樂也。惡紫、恐其亂朱也。惡郷原、恐其亂德也。
孔子曰く、似て非なる者を悪む。莠を悪むは、其の苗を乱るを恐るればなり。佞を悪むは、其の義を乱るを恐るればなり。利口を悪むは、其の信を乱るを恐るればなり。鄭声を悪むは、其の楽を乱るを恐るればなり。紫を悪むは、其の朱を乱るを恐るればなり。郷原を悪むは、其の徳を乱るを恐るればなり、と。
- 莠 … はぐさ。稲に似ているが、葉ばかり伸びて実らない雑草。
- 乱 … それに似ていて、紛らわしいこと。
- 佞 … 佞弁。人にこびへつらって口先のうまいこと。
- 利口 … 口達者な者。『論語』陽貨18に「利口の邦家を覆す者を悪む」(惡利口之覆邦家者)とある。
- 鄭声 … 鄭の国の音楽。みだらな音楽であったらしい。『論語』衛霊公10に「鄭声を放ち、佞人を遠ざく。鄭声は淫にして、佞人は殆うし」(放鄭聲、遠佞人。鄭聲淫、佞人殆)とある。
- 楽 … 正しい音楽。
- 紫 … むらさき。青と赤との間色。日本の紫と違い、正色の朱に近い色であったと思われる。
- 郷原 … その地方で有徳者らしく見せかけている偽善者。『論語』陽貨13に「郷原は徳の賊なり」(郷原德之賊也)とある。
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