画竜点睛
画竜点睛
- 出典:『歴代名画記』巻七(ウィキソース「歷代名畫記/卷第七」参照)
- 解釈:物事の最後の大事な仕上げ。梁の名画師張僧繇が竜を描いて、最後にその瞳を書き入れたら、たちまち竜が天に昇ったという故事から。「画竜」は、竜の絵を描くこと。「点睛」は、瞳を書き入れること。「画竜点睛を欠く」という場合は、最後の仕上げが不十分で、全体が不完全になってしまうことをいう。
- 歴代名画記 … 十巻。晩唐の張彦遠が著した絵画史・画論史。画家の伝記や評論などが広く集められている。ウィキペディア【歴代名画記】参照。
〔梁、張僧繇〕
張僧繇、呉中人也。
張僧繇、呉中人也。
張僧繇は、呉中の人なり。
- 張僧繇 … 南北朝時代の梁の画家。生没年未詳。呉中(今の江蘇省蘇州市)の人。ウィキペディア【張僧繇】参照。
- 呉中 … 今の江蘇省蘇州市一帯。
……武帝崇飾佛寺、多命僧繇画之。
……武帝仏寺を崇飾するに、多く僧繇に命じて之に画かしむ。
- 武帝 … 464~549。南朝梁の初代皇帝、蕭衍。在位502~549。武帝は諡。仏教を厚く保護した。ウィキペディア【蕭衍】参照。
- 崇飾 … 立派に飾る。
- 命 … 「めいじて~しむ」と使役に読み、「命令して~させる」と訳す。
……又金陵安楽寺四白龍、不點眼睛。
……又金陵の安楽寺の四白竜は、眼睛を点ぜず。
- 金陵 … 梁の都。今の江蘇省南京市。ウィキペディア【南京市】参照。
- 四白竜 … 四頭の白い竜。
- 眼睛 … ひとみ。
- 点 … 描き入れる。
毎云、點睛即飛去。
毎に云う、睛を点ぜば即ち飛び去らん、と。
- 毎 … 「つねに」と読み、「いつも」と訳す。「常」と同じ。
- 云 … 「いう」と読み、「~という」と訳す。人の言葉や書物の語句を引用する場合に用いる。
- 即 … 「すなわち」と読み、「すぐに」「ただちに」と訳す。
人以爲妄誕、固請點之。
人以て妄誕と為し、固く之を点ぜんことを請う。
- 以為 … 「もって~となす」と読み、「~だと思う」と訳す。
- 妄誕 … でたらめ。
- 固 … 「かたく」と読み、「強く」と訳す。
- 之 … 「瞳」を指す。
- 請 … 「~をこう」と読み、「~をお願いする」「~を頼む」と訳す。
須臾雷電破壁、両龍乗雲、騰去上天。
須臾にして雷電壁を破り、両竜雲に乗り、騰去して天に上る。
- 須臾 … たちまち。
- 雷電 … 雷鳴と稲妻。
- 騰去 … 躍り上がる。跳ね上がる。
二龍未點眼者見在。
二竜未だ眼を点ぜざる者は、見在す。
- 未 … 「いまだ~(せ)ず」と読み、「まだ~しない」と訳す。再読文字。
- 見在 … 現在も実際にあること。
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