>   故事名言   >   さ行   >   漱石枕流(石に漱ぎ流れに枕す)

漱石枕流(石に漱ぎ流れに枕す)

漱石(そうせき)枕(ちん)流(りゅう)
(石(いし)に漱(くちすす)ぎ流(なが)れに枕(まくら)す)
  • 出典:『世説新語』排調(ウィキソース「世說新語/排調」参照)、『晋書(しんじょ)』孫楚伝(ウィキソース「晉書/卷056」参照)
  • 解釈:負け惜しみが強いことの喩え。屁理屈をつけて言い逃れるときにもいう。晋(しん)の孫(そん)楚(そ)が、「石に枕(まくら)し、流れに漱(くちすす)ぐ」と言うべきところを、誤って「石に漱(くちすす)ぎ、流れに枕(まくら)す」と言ってしまった。王(おう)済(せい)がそれを指摘したところ、「石に漱(くちすす)ぐ」とは歯を磨くことで、「流れに枕(まくら)す」とは耳を洗うことだ、と言ってこじつけたという故事から。夏目漱石の雅号は、この故事に基づく。
  • 世説新語 … 三巻。南北朝時代、宋の劉(りゅう)義(ぎ)慶(けい)(403~444)の編。後漢末から東晋末にいたる知識人の逸話を収録したもの。ウィキペディア【世説新語】参照。
〔世説新語、排調〕
孫子荊、年少時、欲隱。
孫(そん)子(し)荊(けい)、年(とし)少(わか)き時(とき)、隠(かく)れんと欲(ほっ)す。
  • 孫子荊 … 西晋(せいしん)の人。字(あざな)は子(し)荊(けい)。名は楚(そ)。恵帝のとき、憑(ひょう)翊(よく)(陝西(せんせい)省大茘(たいれい))の太守となった。ウィキペディア【孫楚】参照。
  • 隠 … 隠遁する。世を捨てること。
  • 欲 … ~しようと思う。
語王武子、當枕石漱流、誤曰、漱石枕流。
王(おう)武子(ぶし)に語(かた)るに、当(まさ)に石(いし)に枕(まくら)し流(なが)れに漱(くちすす)がんとすべきに、誤(あやま)りて曰(いわ)く、石(いし)に漱(くちすす)ぎ流(なが)れに枕(まくら)す、と。
  • 王武子 … 西晋の人。名は済(せい)。武子は字(あざな)。
  • 当 … 「まさに~べし」と読み、「~すべきである」と訳す。再読文字。当然の意を示す。
  • 枕石漱流 … 石を枕にして眠り、川の流れで口をすすぐ。隠遁して自然の中で自由気ままに暮らすこと。
  • 漱 … 口をすすぐ。うがいをする。
王曰、流可枕、石可漱乎。
王(おう)曰(いわ)く、流(なが)れは枕(まくら)す可(べ)く、石(いし)は漱(くちすす)ぐ可(べ)きか、と。
  • 流可枕、石可漱乎 … 川の流れを枕にして眠ったり、石で口をすすいだりすることができるだろうか。
  • 可 … 「~べし」と読み、「~できる」と訳す。可能の意を示す。
  • 乎 … 「か」と読み、「~であろうか」「~だろうか」と訳す。疑問の終助詞。
孫曰、所以枕流、欲洗其耳。
孫(そん)曰(いわ)く、流(なが)れに枕(まくら)する所以(ゆえん)は、其(そ)の耳(みみ)を洗(あら)わんと欲(ほっ)すればなり。
  • 所以 … 「~(す)るゆえん」と読み、「~する理由」と訳す。理由の意を示す。
  • 洗其耳 … 俗事で汚れた耳を洗い清める。昔、許由(きょゆう)が堯(ぎょう)から帝位を譲ろうと言われ、汚れた話を聞いたとして自分の耳を洗ったという故事に基づく。ウィキペディア【許由】参照。
所以漱石、欲礪其齒。
石(いし)に漱(くちすす)ぐ所以(ゆえん)は、其(そ)の歯(は)を礪(みが)かんと欲(ほっ)すればなり、と。
  • 礪 … みがく。
論語名句辞典
『論語名句辞典』
見出し句は類書中最大の981項目あります(うち空(から)見出し222項目を含む)。意味・原文・書き下し文・語釈付き。巻末に人名一覧・見出し句索引も収録しました。
試し読み試し読み (Amazon 詳細ページへ)
あ行 か行 さ行
た行 な行 は行
ま行 や行 ら行・わ
論語の名言名句