漱石枕流(石に漱ぎ流れに枕す)
漱石枕流
(石に漱ぎ流れに枕す)
(石に漱ぎ流れに枕す)
- 世説新語 … 三巻。南北朝時代、宋の劉義慶(403~444)の編。後漢末から東晋末にいたる知識人の逸話を収録したもの。ウィキペディア【世説新語】参照。
〔世説新語、排調〕
孫子荊、年少時、欲隱。
孫子荊、年少時、欲隱。
孫子荊、年少き時、隠れんと欲す。
- 孫子荊 … 西晋の人。字は子荊。名は楚。恵帝のとき、憑翊(陝西省大茘)の太守となった。ウィキペディア【孫楚】参照。
- 隠 … 隠遁する。世を捨てること。
- 欲 … ~しようと思う。
語王武子、當枕石漱流、誤曰、漱石枕流。
王武子に語るに、当に石に枕し流れに漱がんとすべきに、誤りて曰く、石に漱ぎ流れに枕す、と。
- 王武子 … 西晋の人。名は済。武子は字。
- 当 … 「まさに~べし」と読み、「~すべきである」と訳す。再読文字。当然の意を示す。
- 枕石漱流 … 石を枕にして眠り、川の流れで口をすすぐ。隠遁して自然の中で自由気ままに暮らすこと。
- 漱 … 口をすすぐ。うがいをする。
王曰、流可枕、石可漱乎。
王曰く、流れは枕す可く、石は漱ぐ可きか、と。
- 流可枕、石可漱乎 … 川の流れを枕にして眠ったり、石で口をすすいだりすることができるだろうか。
- 可 … 「~べし」と読み、「~できる」と訳す。可能の意を示す。
- 乎 … 「か」と読み、「~であろうか」「~だろうか」と訳す。疑問の終助詞。
孫曰、所以枕流、欲洗其耳。
孫曰く、流れに枕する所以は、其の耳を洗わんと欲すればなり。
- 所以 … 「~(す)るゆえん」と読み、「~する理由」と訳す。理由の意を示す。
- 洗其耳 … 俗事で汚れた耳を洗い清める。昔、許由が堯から帝位を譲ろうと言われ、汚れた話を聞いたとして自分の耳を洗ったという故事に基づく。ウィキペディア【許由】参照。
所以漱石、欲礪其齒。
石に漱ぐ所以は、其の歯を礪かんと欲すればなり、と。
- 礪 … みがく。
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