画餅
- 出典:『三国志』魏書・盧毓伝(ウィキソース「三國志/卷22」参照)
- 解釈:絵にかいた餅。物の役に立たないことの喩え。「がへい」とも。ここから、計画したことが失敗し、徒労に終わることを「画餅に帰す」というようになった。
- 三国志 … 歴史書。六十五巻。晋の陳寿(233~297)著。魏・蜀・呉三国の歴史を記したもの。魏書三十巻、蜀書十五巻、呉書二十巻からなる。正史の一つ。この書をもとにした小説に『三国志演義』(羅貫中作)がある。ウィキペディア【三国志 (歴史書)】参照。
- 盧毓 … 183~257。三国時代、魏の政治家。字は子家。涿郡涿県(現在の河北省涿州市)の人。諡は成侯。魏の文帝(曹丕)のとき、各地の郡太守を歴任した。ウィキペディア【盧毓】参照。
前此諸葛誕鄧颺等馳名譽、有四窗八達之誚。帝疾之。
此れより前、諸葛誕・鄧颺等、名誉を馳せ、四窗八達の誚り有り。帝之を疾む。
- 諸葛誕 … ?~258。三国時代、魏の政治家・武将。字は公休。徐州琅邪郡陽都県(現在の山東省沂南県)の人。ウィキペディア【諸葛誕】参照。
- 鄧颺 … ?~249。三国時代、魏の政治家。字は玄茂。南陽新野(現在の河南省新野県)の人。魏の大将軍曹爽の幕僚の一人。ウィキペディア【鄧颺】(中文)参照。
- 馳名誉 … 名声を競う。
- 四窗八達 … 四聡八達。魏の四人の聡明な人物と、八人のすぐれた人物。
- 誚 … そしること。悪口をいうこと。
- 帝 … 魏の文帝(曹丕)を指す。曹操の長男。在位220~226。ウィキペディア【曹丕】参照。
- 疾 … にくむ。
時舉中書郎、詔曰、得其人與否、在盧生耳。選舉莫取有名。名如畫地作餠。不可啖也。
時に中書郎に挙げ、詔して曰く、其の人を得ると否とは、盧生に在るのみ。選び挙ぐるに名有るを取ること莫かれ。名は地に画きて餅を作るが如し。啖らう可からざるなり、と。
- 中書郎 … 官名。中書侍郎(中書省の次官)のこと。「中書省」は、詔勅の起草などを司った。ウィキペディア【中書省】【侍郎】参照。
- 詔 … 詔(天子の命令)を出すこと。
- 得其人与否 … 人材を得られるか否か。
- 盧生 … 盧毓のこと。
- 選挙 … すぐれた人材を選び出して推挙する。
- 名 … 名声。
- 啖 … 餅を食べる。ここでは、名声ある人物を役立てることに喩える。
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