楚辞 九歌第二 (十)国殤
操呉戈兮被犀甲 車錯轂兮短兵接
呉戈を操りて犀甲を被り、車は轂を錯えて短兵接す。
- ウィキソース「九歌」参照。
- 国殤 … 国のために死んだ人。
- 呉戈 … 呉の国のほこ。
- 犀甲 … 犀の皮で作った鎧。
- 轂 … こしき。車輪の中心にある丸い部分。
旌蔽日兮敵若雲 矢交墜兮士爭先
旌は日を蔽いて敵は雲の若く、矢は交〻墜ちて士は先を争う。
凌余陣兮躐余行 左驂殪兮右刃傷
余が陣を凌ぎて余が行を躐み、左驂は殪れて右は刃に傷つく。
霾兩輪兮縶四馬 援玉枹兮撃鳴鼓
両輪を霾みて四馬を縶ぎ、玉枹を援りて鳴鼓を撃つ。
天時墜兮威靈怒 嚴殺盡兮棄原野
天時に墜ちて威霊は怒り、厳殺し尽くして原野に棄つ。
- 墜 … 朱熹集注本では「懟」に作る。
- 野 … 底本では「壄」に作る。
出不入兮往不反 平原忽兮路超遠
出でて入らず、往きて反らず、平原忽として路超遠なり。
帶長劔兮挾秦弓 首身離兮心不懲
長剣を帯びて秦弓を挟み、首身離るとも心懲りず。
誠旣勇兮又以武 終剛強兮不可凌
誠に既に勇んで又以て武く、終に剛強にして凌ぐ可からず。
身旣死兮神以靈 子魂魄兮爲鬼雄
身既に死するも神は以て霊に、子の魂魄鬼雄と為る。
九歌第二 | |
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(十一)礼魂 |
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