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楚辞 九(きゅう)歌(か)第二 (六)少(しょう)司(し)命(めい)

秋蘭兮麋蕪 羅生兮堂下
秋(しゅう)蘭(らん)と麋蕪(びぶ)と、堂(どう)下(か)に羅(ら)生(せい)す。
  • ウィキソース「九歌」参照。
  • 少司命 … 星神の名。寿命と運命を司るという。少司命は大司命を補佐する。大司命が男神、少司命が女神であると考えられる。
  • 秋蘭 … 香草の一つ。藤(ふじ)袴(ばかま)。ウィキペディア【フジバカマ】参照。
  • 麋蕪 … 香草の一つ。おんなかずら。
  • 羅生 … 網の目のように並んで生じる。
緑葉兮素枝 芳菲菲兮襲予
緑(りょく)葉(よう)と素枝(そし)、芳(ほう)菲菲(ひひ)として予(よ)を襲(おそ)う。
  • 芳 … 芳香。
  • 菲菲 … 香りが漂うさま。
夫人自有兮美子 蓀何以兮愁苦
夫(そ)れ人(ひと)には自(おの)ずから美子(びし)有(あ)り、蓀(そん)何(なに)を以(もっ)て愁(しゅう)苦(く)する。
  • 美子 … よい人。愛する人。恋人。よき配偶者。
  • 蓀 … 香草の名。ここでは相手の美称。あなた。
  • 愁苦 … 思い悩んで苦しむこと。
秋蘭兮青青 緑葉兮紫莖
秋(しゅう)蘭(らん)は青青(せいせい)たり、緑(りょく)葉(よう)と紫(し)茎(けい)と、
滿堂兮美人 忽獨與余兮目成
満堂(まんどう)の美(び)人(じん)、忽(たちま)ち独(ひと)り余(よ)と目成(もくせい)す。
  • 美人 … ここでは美女ではなく、立派な君子の意。
入不言兮出不辭 乗回風兮載雲旗
入(い)るに言(ものい)わず、出(い)づるに辞(じ)せず、回風(かいふう)に乗(の)りて雲(うん)旗(き)を載(た)つ。
悲莫悲兮生別離 樂莫樂兮新相知
悲(かな)しきは生(い)きながら別(べつ)離(り)より悲(かな)しきは莫(な)く、楽(たの)しきは新(あたら)しく相(あい)知(し)るより楽(たの)しきは莫(な)し。
荷衣兮蕙帶 儵而來兮忽而逝
荷(か)の衣(ころも)、蕙(けい)の帯(おび)、儵(しゅく)として来(きた)り、忽(こつ)として逝(ゆ)く。
夕宿兮帝郊 君誰須兮雲之際
夕(ゆうべ)に帝郊(ていこう)に宿(やど)り、君(きみ)誰(たれ)をか雲(くも)の際(はて)に須(ま)つ。
與女遊兮九河 衝風至兮水揚波
女(なんじ)と九(きゅう)河(か)に遊(あそ)べば、衝(しょう)風(ふう)至(いた)って水(みず)波(なみ)を揚(あ)ぐ。
  • この二句は古本になく、王逸の注もない。補注では「この二句は『河伯』章中の語なり」という。
與女沐兮咸池 晞女髮兮陽之阿
女(なんじ)と咸(かん)池(ち)に沐(もく)し、女(なんじ)の髪(かみ)を陽(よう)の阿(あ)に晞(かわ)かさん。
望美人兮未來 臨風怳兮浩歌
美(び)人(じん)を望(のぞ)めども未(いま)だ来(きた)らず、風(かぜ)に臨(のぞ)んで怳(こう)として浩(こう)歌(か)す。
  • 美人 … 大司命を指す。
  • 浩歌 … 大きい声で歌う。
孔蓋兮翠旍 登九天兮撫彗星
孔蓋(こうがい)と翠旍(すいせい)と、九(きゅう)天(てん)に登(のぼ)って彗星(すいせい)を撫(ぶ)す。
竦長劔兮擁幼艾 蓀獨冝兮爲民正
長(ちょう)剣(けん)を竦(と)りて幼艾(ようがい)を擁(よう)す。蓀(そん)独(ひと)り宜(よろ)しく民(たみ)の正(せい)為(な)るべし。
九歌第二
(一)東皇太一 (二)雲中君
(三)湘君 (四)湘夫人
(五)大司命 (六)少司命
(七)東君 (八)河伯
(九)山鬼 (十)国殤
(十一)礼魂  
楚辞目次
九歌第二 卜居第六
漁父第七 惜誓第十一
招隠士第十二