楚辞 九歌第二 (七)東君
暾將出兮東方 照吾檻兮扶桑
暾として将に東方に出でんとして、吾が檻を扶桑に照らす。
- ウィキソース「九歌」参照。
- 東君 … 太陽の神。
- 暾 … 真ん丸い朝日が差し昇るさま。
- 扶桑 … 日の出る所。
撫余馬兮安驅 夜皎皎兮既明
余が馬を撫して安らかに駆くれば、夜は皎皎として既に明く。
駕龍輈兮乗雷 載雲旗兮委蛇
竜輈に駕して雷に乗り、雲旗を載てて委蛇たり。
長太息兮將上 心低佪兮顧懷
長太息して将に上らんとし、心は低佪して顧み懐う。
- 長太息 … 長くて太いためいきをつくこと。
羌聲色兮娯人 觀者憺兮忘歸
羌、声色の人を娯しましむる、観る者憺として帰るを忘る。
緪瑟兮交鼓 簫鍾兮瑶簴
緪瑟と交鼓と、鍾を瑶簴に簫つ。
鳴䶵兮吹竽 思靈保兮賢姱
䶵を鳴らし竽を吹き、霊保の賢姱なるを思う。
翾飛兮翠曾 展詩兮會舞
翾飛して翠曾し、詩を展べて会舞す。
應律兮合節 靈之來兮蔽日
律に応じて節に合すれば、霊の来ること日を蔽う。
青雲衣兮白霓裳 舉長矢兮射天狼
青雲の衣と白霓の裳、長矢を挙げて天狼を射る。
操余弧兮反淪降 援北斗兮酌桂漿
余が弧を操りて反りて淪降し、北斗を援りて桂漿を酌む。
撰余轡兮髙駝翔 杳冥冥兮以東行
余が轡を撰ちて高く駝翔し、杳として冥冥として以て東に行く。
- 駝 … ここでは馳せるの意。
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