髀肉の嘆
髀肉の嘆
- 出典:『三国志』蜀書・先主伝・注(ウィキソース「三國志/卷32」参照)
- 解釈:手腕を発揮し、功名を立てる機会を得られないと嘆くこと。蜀の劉備が、長い間戦いがなく、馬を乗り回さなかったため、ももに肉がついてしまい、嘆いたという故事から。「髀肉」は、股の肉。「髀肉の嘆を託つ」とも。
- 三国志 … 歴史書。六十五巻。晋の陳寿(233~297)著。魏・蜀・呉三国の歴史を記したもの。魏書三十巻、蜀書十五巻、呉書二十巻からなる。正史の一つ。この書をもとにした小説に『三国志演義』(羅貫中作)がある。ウィキペディア【三国志 (歴史書)】参照。
九州春秋曰、備住荊州數年、嘗於表坐起至厠、見髀裏肉生、慨然流涕。
九州春秋に曰く、備、荊州に住まること数年、嘗て表の坐に於いて起ちて厠に至り、髀の裏に肉の生ずるを見て、慨然として流涕す。
- 備 … 蜀漢の初代皇帝、劉備。161~223。名は備。字は玄徳。ウィキペディア【劉備】参照。
- 荊州 … 現在の湖北省一帯を指す。
- 表 … 劉表。
- 髀 … 股。
- 慨然 … 悲しんで心が乱れるさま。
還坐、表怪問備。備曰、吾常身不離鞍、髀肉皆消。今不復騎、髀裏肉生。日月若馳、老將至矣。而功業不建。是以悲耳。
坐に還り、表怪しみて備に問う。備曰く、吾常に身鞍を離れず、髀肉皆消ゆ。今復た騎らず、髀の裏に肉生ず。日月馳するが若く、老い将に至らんとす。而も功業建たず。是を以て悲しむのみ、と。
- 功業 … 功績。てがら。
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