寄左省杜拾遺(岑参)
寄左省杜拾遺
左省の杜拾遺に寄す
左省の杜拾遺に寄す
- 五言律詩。微・歸・飛・稀(平声微韻)。
- 左省 … 門下省。
- 杜拾遺 … 杜甫。拾遺は官名。天子の過失をいさめる役。
- 岑参 … 715~770。盛唐の詩人。湖北省江陵の人。天宝三載(744)、進士に及第。西域の節度使の幕僚として長く辺境に勤務したのち、右補闕・虢州長史(次官)・嘉州刺史などを歴任した。辺塞詩人として高適とともに「高岑」と並び称される。『岑嘉州集』七巻がある。ウィキペディア【岑参】参照。
聯歩趨丹陛
歩を聯ねて丹陛に趨るも
- 丹陛 … 朱で塗った宮殿の階段。
分曹限紫微
曹を分って紫微に限らる
- 曹 … 部局。
- 紫微 … もとは北斗星の北東にある十五の星の名。伝説では、その一つが天の軸にあたり、天帝の住む宮殿とされる。転じて、王宮のこと。ここでは天子の宮殿を指す。紫微宮・紫微星・紫垣・紫宮とも。『晋書』天文志に「紫宮垣の十五星、其の西番七つ、東番八つ、北斗の北に在り。一に紫微と曰う。大帝の坐なり。天子の常居なり。命を主り度を主るなり」(紫宮垣十五星、其西番七、東番八、在北斗北。一曰紫微。大帝之坐也。天子之常居也。主命主度也)とある。ウィキソース「晉書/卷011」参照。
曉隨天仗入
曉には天仗に随って入り
- 天仗 … 天子の行列を護衛する兵。
暮惹御香歸
暮には御香を惹いて帰る
- 御香 … 宮中で焚かれる香の香り。
白髮悲花落
白髪 花の落つるを悲しみ
青雲羨鳥飛
青雲 鳥の飛ぶを羨む
聖朝無闕事
聖朝 闕事無く
- 聖朝 … 時の朝廷を尊んでいうことば。
- 闕事 … 政治上の欠陥。
自覺諫書稀
自ら覚ゆ 諫書の稀なるを
- 諫書 … 天子をいさめる書。
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