和祠部王員外雪後早朝即事(岑参)
和祠部王員外雪後早朝即事
祠部王員外の「雪後早に朝する即事」に和す
祠部王員外の「雪後早に朝する即事」に和す
- 七言律詩。歸・暉・衣・闈・稀(平声微韻)。
- 『全唐詩』巻201所収。ウィキソース【和祠部王員外雪後早朝即事】参照。
- 祠部 … 天文・祭祀等を管掌する役所。
- 王 … 姓。
- 員外 … 官名。長官(郎中)の補佐役。員外郎。
- 雪後 … 雪の降ったあと。
- 早 … 朝早く。
- 朝 … 参内すること。
- 即事 … 目の前の情景や事柄に即して、見たままに詠じたもの。
- 和 … ここでは銭起の「王員外の『晴雪早朝』に和す」と同じく、王某が「雪後早朝即事」と題して即興的に詠じた詩に、作者が唱和したもの。
- 岑参 … 715~770。盛唐の詩人。湖北省江陵の人。天宝三載(744)、進士に及第。西域の節度使の幕僚として長く辺境に勤務したのち、右補闕・虢州長史(次官)・嘉州刺史などを歴任した。辺塞詩人として高適とともに「高岑」と並び称される。『岑嘉州集』七巻がある。ウィキペディア【岑参】参照。
長安雪後似春歸
長安 雪後 春帰るに似たり
- 似春帰 … 春が帰って来たようだ。
積素凝華連曙暉
積素 凝華 曙暉に連なる
- 積素 … 降り積もった雪。「素」は白色、雪のこと。南朝宋の謝恵連の「雪の賦」に「積素未だ虧けず、白日朝に鮮かなり」とあるのに基づく。
- 凝華 … 花のように凝結した雪。
- 曙暉 … 朝の光。
色借玉珂迷曉騎
色は玉珂に借りて暁騎を迷わしめ
- 玉珂 … 馬のくつわにつける玉の飾り。
- 暁騎 … 夜明けの道を参内する百官の騎馬。
光添銀燭晃朝衣
光は銀燭に添いて朝衣を晃かす
- 銀燭 … 銀色に輝くともしび。
- 朝衣 … 朝廷に出仕するときに着る礼服。
- 晃 … 色鮮やかに照らしだすこと。
西山落月臨天仗
西山の落月 天仗に臨み
- 天仗 … 天子を警護する儀仗兵。仙仗。
北闕晴雲捧禁闈
北闕の晴雲 禁闈を捧ぐ
- 北闕 … 宮城の北の門。
- 禁闈 … 宮中の門。
聞道仙郎歌白雪
聞く道らく仙郎 白雪を歌うと
- 聞道 … 「きくならく」と読み、「聞くところによれば」「人の話によると」と訳す。「聞説」とも書く。
- 仙郎 … 員外郎や郎中などの雅称。ここでは王員外を指す。
- 白雪 … 陽春白雪のこと。
由來此曲和人稀
由来 此の曲 和す人稀なり
- 由来 … 昔から。もとから。
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