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暮春虢州東亭送李司馬帰扶風別廬(岑参)

暮春虢州東亭送李司馬歸扶風別廬
暮春ぼしゅん虢州かくしゅう東亭とうていにて司馬しば扶風ふふう別廬べつろかえるをおく
しんじん
  • 七言律詩。殷・還・山・閒・斑(平声刪韻)。
  • 『全唐詩』巻201所収。ウィキソース【暮春虢州東亭送李司馬歸扶風別廬】参照。
  • 暮春 … 晩春。陰暦三月のこと。
  • 虢州 … 今の河南省盧氏県。
  • 東亭 … 町の東にある駅亭(宿場にある旅館)。
  • 李司馬 … 人物については不明。「司馬」は州・郡の属官。刺史を補佐して軍事を司った。
  • 扶風 … 今の陝西省鳳翔。
  • 別廬 … 別荘。
  • 岑参 … 715~770。盛唐の詩人。湖北省江陵の人。天宝三載(744)、進士に及第。西域の節度使の幕僚として長く辺境に勤務したのち、けつかく州刺史・嘉州刺史などを歴任した。辺塞詩人として高適こうせきとともに「高岑」と並び称される。『岑嘉州集』七巻がある。ウィキペディア【岑参】参照。
柳嚲鶯嬌花復殷
やなぎうぐいすびてはなあか
  • 嚲 … 垂れ下がること。
  • 鶯嬌 … ウグイスが可愛い声で鳴くこと。
  • 殷 … 黒みがかった赤色のこと。「殷」の音はアン。「殷」を「さかんなり」と訓読し、「盛んなさま」と解釈している注釈書もあるが、その場合の音はインになり、韻が合わない。
紅亭綠酒送君還
紅亭こうてい 緑酒りょくしゅ きみかえるをおく
  • 紅亭 … 建物を赤く塗り飾った駅亭。
  • 緑酒 … 緑色に澄んだ酒。上質な酒のこと。
到來函谷愁中月
到来とうらい 函谷かんこく 愁中しゅうちゅうつき
  • 到来 … 君はこの土地へ来てから。
  • 函谷 … 虢州の西にある函谷関。ウィキペディア【函谷関】参照。
  • 愁中月 … 憂愁の気持ちを抱いて見る月。
歸去磻溪夢裏山
帰去ききょ 磻渓はんけい 夢裏むりやま
  • 磻渓 … 鳳翔の南、宝雞の近くにある谷川。
  • 夢裏山 … 夢に見ていた山々。
簾前春色應須惜
簾前れんぜん春色しゅんしょく まさすべからしむべし
  • 簾前 … すだれの前。
  • 春色 … 春景色。
  • 須 … 「すべからく~すべし」と読み、「ぜひとも~する必要がある」「当然~すべきである」と訳す。再読文字。「すべて、皆」と訳すのは誤り。
世上浮名好是閒
世上せじょう浮名ふめい かんなり
  • 世上 … 世間。
  • 浮名 … あてにならぬ虚名。
  • 好是 … まったく。
  • 間 … どうでもいいこと。等閑視すること。
西望郷關腸欲斷
西にしのかたきょうかんのぞめばはらわたえんとす
  • 郷関 … (わが)ふるさと。
  • 腸欲断 … 腸がちぎれんばかりの悲しい思い。
對君衫袖涙痕斑
きみたいして衫袖さんしゅう 涙痕るいこんまだらなり
  • 衫袖 … 着物の袖。
  • 涙痕 … 涙の流れた跡。
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