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思い邪無し

おもよこしま
  • 出典:『論語』為政第二2(ウィキソース「論語/爲政第二」参照)
  • 解釈:思うところに邪念がないこと。また、ありのままの心情を表して、なんの飾り気もないこと。孔子が『詩経』全体を一言で評した言葉。この句はもともと『詩経』の魯頌・けいの詩の中で歌われた句である。
  • 論語 … 孔子(前552~前479)とその門弟たちの言行録。四書の一つ。十三経の一つ。二十編。儒家の中心的経典。我が国へは応神天皇の代に伝来したといわれている。ウィキペディア【論語】参照。
子曰、詩三百、一言以蔽之、曰、思無邪
いわく、三百さんびゃく一言いちげんもっこれおおえば、いわく、おもよこしまし。
  • 詩三百 … 『詩経』三百篇。「三百」とは、概数。現今の『詩経』は三百五篇。もともと三百十一篇あったが、そのうちの六篇は題名のみ伝わる。孔子が編集したといわれている。ウィキペディア【詩経】参照。
  • 一言 … ひとこと。一句。
  • 蔽 … (『詩経』全部の性質を)おおい尽くす。「蓋」に同じ。ここでは、ひっくるめて言うこと。
  • 思無邪 … 思いに邪念がない。『詩経』魯頌・けいの詩に「おもうことよこしま無し、馬のここかんことをおもう」(思無邪、思馬斯徂)とあるのに基づく。ウィキソース「詩經/駉」参照。なお「思」を助詞とし、「れ邪無し」「ここに邪無し」と訓読することもできる。また、元の詩は馬の素晴らしさをほめたたえる表現として使われている。従って孔子の引用は本来の意味とずれている。これを「断章取義」(詩の一部分を選び出し、原文と関係なく利用すること)という。
  • 詳しい注釈と現代語訳については「為政第二2」参照。
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論語の名言名句